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用語解説

更新日:2024年8月9日 ページID:036999

1 福田 須磨子(すまこ)

1945(昭和20)年23歳の時、爆心地から約1.8km地点の長崎師範学校(現・文教町)で被爆。
原爆で両親と姉を亡くし、自身も紅斑症などの後障害に苦しみながら、被爆者の苦しみや戦争の悲惨さ、平和への思いについて詩やエッセーを通じて訴え続けました。著書に「われなお生きてあり」、「ひとりごと」などがあります。1974(昭和49)年4月死去。

2 放射線による影響

原爆による被害の特質は、大量破壊、大量殺りくが瞬時に、かつ無差別に引き起こされること、放射線による障害がその後も長期間にわたり人々を苦しめることにあります。
原爆による放射線障害は、急性障害と後障害に分けられます。急性障害は大量の放射線を浴びた時に出る症状で、嘔吐、下痢、発熱、皮下出血などを発症し、多くの人が死亡しました。後障害は、被爆して数年から数十年してから現れる症状で、がんや白血病、白内障などがあります。1946(昭和21)年初めから、やけどが治ったあとに盛り上がるケロイドという症状が現れました。また、母親の胎内で被爆した胎内被爆児は出生後も死亡率が高く、死を免れても小頭症などの症状が現れることがありました。さらに、1950(昭和25)年頃からは、白血病、甲状腺がん、乳がん、肺がんなど様々な病気の発症率が高くなり始めました。
放射線が年月を経て引き起こす影響については、未だ十分に解明されておらず、調査や研究が今も続けられています。

3 核戦力の増強

核爆発を起こす部分(核弾頭)と、それを搭載するミサイルなどを組み合わせたものを核兵器と呼びます。核弾頭には、いつでも使える状態にある「配備弾頭」、配備に備えて貯蔵されている「予備弾頭」、老朽化などにより不要となった「退役・解体待ち弾頭」の3種類があります。核弾頭の総数は冷戦後一貫して減少傾向にありますが、配備弾頭と予備弾頭の合計である「現役核弾頭数」は2018(平成30)年以降増加傾向にあります。2024(令和6)年現在、ロシア、米国、中国、フランス、英国、パキスタン、インド、イスラエル、北朝鮮の9か国が合計9,583発もの現役核弾頭を保有しており、そのうち米国とロシアが全体の約8割を保有しているといわれています。核兵器の問題は「数」だけではありません。核保有国は老朽化した核兵器を最新のものに更新する「近代化計画」を進めており、「質」の面でも核戦力の増強が進んでいます。

4 核の傘の下にいる国

日本や韓国、NATO(北大西洋条約機構)に加盟する非核保有国は、いずれも核兵器は保有していませんが、アメリカの持つ核兵器の抑止力に依存しています。これらの国々を核の傘の下にいる国と呼んでいます。
これに対し、核兵器の抑止力に頼らない方法で国の安全を保障しようとする考え方もあります。長崎市は、その現実的で具体的な方法として、北東アジア非核兵器地帯構想(6で解説)を提唱しています。

5 核兵器禁止条約

核兵器は一旦使用されれば、取返しのつかない甚大な被害を人間や環境に与えます。それは戦争での使用だけでなく、核兵器が存在する限り、誤って使われたり、テロなどに使われたりする危険性があります。核不拡散条約(NPT)で約束された核軍縮が進まない状況に不満を持つ国々の間で、核兵器を法的に禁止しようとする動きが、2010(平成22)年頃から強まりました。
そのような核兵器を持たない国々の主導のもと、三度にわたる核兵器の非人道性を考える国際会議の開催などを経て、2017(平成29)年7月、国連加盟国の6割を超える122か国・地域が賛成し、核兵器禁止条約が採択されました。条約の前文には「被爆者の苦しみと被害を深く心に留める」とあります。被爆者の「私たちの経験を、もう、誰にもさせたくない」という願いを国際社会がしっかりと受けとめました。
しかし、採択されただけでは、条約は力を持ちません。本当に力を持つためには、それぞれの国の議会等が国内法にしたがって条約を認め、締結する意志を最終的に決定しなければなりません。これを「批准」といいます。
2020(令和2)年10月24日、批准した国が発効要件の50か国に達し、その90日後の2021(令和3)年1月22日に発効(国際法として効力を持つこと)しました。
なお、条約は締約国(条約に正式に入った国)らが話し合う会議を定期的に開催することを定めています。第1回締約国会議は2022(令和4)年6月にオーストリア・ウィーン市で開催され、核兵器廃絶への決意を示す「宣言」と、条約の実現に向けた「行動計画」が採択されました。第2回締約国会議は2023(令和5)年に開催され、第3回締約国会議は2025(令和7)年3月に開催される予定です。(ともに、ニューヨーク市の国連本部)。

6 北東アジア非核兵器地帯構想

地域の国々が条約を結び、核兵器の製造、実験、取得、保有などをしないと約束した地域のことを「非核兵器地帯」といいます。
条約によって核戦争の危機をなくし、国際的な緊張をやわらげることで、核兵器の役割を減らし、核兵器を開発・保有する動機をなくしていくことにもつながります。
地球の南半球は、1967(昭和42)年のラテン・アメリカ核兵器禁止条約のほか4つの条約(南極条約、南太平洋非核地帯条約、アフリカ非核兵器地帯条約、東南アジア非核兵器条約)によりすでに陸地のほとんどが非核化されています。
北半球でも、1998(平成10)年にモンゴルの「非核地位」が国連で認められ、2009(平成21)年には中央アジア(ウズべキスタン、タジキスタン、キルギス、トルクメニスタン、カザフスタン)非核兵器地帯条約が発効しています。「北東アジア非核兵器地帯」には、日本と韓国と北朝鮮の3か国を「非核兵器地帯」にしようとするものなどがあります。
条約が実効力を持つためには、3か国に核兵器が存在せず、近隣の核兵器国(アメリカ、ロシア、中国)が、3か国を核兵器で威嚇や攻撃をしないと約束することが必要になります。
「朝鮮半島の完全な非核化」が明記された2018(平成30)年の米朝共同声明などを活かしつつ、地域国間の信頼醸成を図り、北東アジア全体の平和を実現するために日本政府が果たすべき役割は大きいといえます。
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7 地球市民

現在の国際社会には、国境を越えて全世界で取り組まなければならない問題が多く存在しています。
地球市民とは、人種、国籍、思想、歴史、文化、宗教などの「違いを乗り越え、誰もがその背景によらず、人として尊重される社会の実現」を目指して活動する人々を示す造語です。地球市民は市民としての帰属を国家ではなくより広い概念に求めています。
このように同じ地球に住む市民という考えに立ち、すべての人々の生活の向上を目指していくことが大切になっています。

8 持続可能な開発目標(SDGs)

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標です。2015(平成27)年の国連サミットにおいて、すべての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられました。
貧困や飢餓などのいまだに解決が難しい問題、資源やエネルギーの有効活用、地球環境や気候変動などの地球規模で取り組むべき問題や、平和で平等な社会の実現など17のゴールを定め、2030(令和12)年までの問題解決を目標としています。

9 ワン・ヤング・ワールド

ワン・ヤング・ワールド(OYW)は、世界190か国以上から2,000人以上の次世代リーダー達が集まる世界最大級の国際プラットフォームで、若者版ダボス会議と呼ばれています。2010(平成22)年以来毎年、様々な国で開催されており、気候変動から紛争解決まで、地球の未来に関する課題について議論が行われます。
2024(令和6)年5月に、OYWの平和をテーマとした分科会である「ピース・プレナー・フォーラム」が初めて長崎で開催されました。
なお、ダボス会議とは、経済界のリーダー達が毎年スイス東部のダボスで議論する世界経済フォーラム(WEF)の年次総会です。

10 平和の文化

国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が提唱した平和を構築するための考え方のひとつです。その理念は、ユネスコ憲章の前文に「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」と明記されています。
世界には多様な文化や生活様式などがあります。こうした違いが分断を生み、それを力で解決する「戦争の文化」ではなく、相手の立場に立って話し合ったり交流したりしながら、お互いの理解を深め、信頼を築いていく「平和の文化」を育てることが大切です。

お問い合わせ先

原爆被爆対策部 平和推進課 

電話番号:095-844-9923

ファックス番号:095-846-5170

住所:〒852-8117 長崎市平野町7-8(長崎原爆資料館内)

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