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更新日:2013年3月1日 ページID:005617
図-5は、斜面市街地がどうやってできたのかを表しています。
もともと田や段々畑などに利用されていた所に、1960年代頃(昭和35年)から、細い畦道をたよりに下の方から家が建ち並びました。また、当時は本格的な車社会の到来前であったため、車が通る道路の必要性もあまり論じられることなく、結果的に車が入れない市街地ができていきました。
外からの大景観としては、非常にすばらしいのですが、実際まちの中に入ってみると、細い階段道や坂道が縦横無尽に走っています。
このような状況の中でまず問題になるのが、日常の上下移動に関することです。
図-6は、ゴミの収集作業の様子です。ゴミを入れるカゴの下にソリをつけて、巧く滑らせて引き出していますが、このような作業のために、本市と同規模の都市に比べて数億円多くの費用が必要となっています。
また、坂道の途中には、坂を上り下りする人々が休憩するためにバンコと呼ばれるベンチが置かれていて、そこに腰掛けて休憩する人々の様子もよく見受けられます。このほか、階段を登るのはきついため、坂の上の車道までバスやタクシーなどを利用して上がり、そこから歩いて下って来るという話もよく聞きます。
次に問題になるのが、防災に関することです。坂の街には、消防車が入れないために消火活動困難地域となっている所も数多くあります。
万一、火災が起きた場合、図-7のように消火ホースを背負って火災現場まで走り、消火活動を行います。このため、消防車両が進入できる地区に比べて初期消火が遅れることも考えられます。
さらに、坂の街には、老朽化した住宅が多くあります。
これは、坂の街では住宅の建築費が高いことと併せて、家を新築しようとした場合に必要となる接道などの条件に対応できないことが多いため、なかなか住宅の更新が進まないからです。このため、老朽化した木造家屋が多く残っており、火災などの危険に対して脆弱であると考えられます。
このように、坂の街では、日常の階段道の上り下りはもとより、車両を使った消防・救急活動や福祉サービスにも支障をきたしており、これらの不便さは若い世代を中心に人口の流出を招き、地域の活力の低下と高齢化を進行させています。
このような状況から、長崎市では、生活道路や公園の整備と併せて、老朽化した住宅の改善を促進するため斜面市街地再生事業を開始しました。
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