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施政方針(令和4年2月21日)

更新日:2022年2月21日 ページID:038132

令和4年度施政方針

令和4年2月21日、令和4年第1回市議会定例会の冒頭において、田上富久 長崎市長が市政運営に対する所信を述べました。
なお、本定例会においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図るため、次の内容の一部を抜粋して述べています。

目次
1 はじめに
2 令和4年度の予算編成
3 令和4年度の主な取組み
(1)独自の歴史・文化を活かし、多様な交流と満足を生み出すまち
(2)平和を愛し、平和の文化を育むまち
(3)人や企業に選ばれ、産業が進化し続けるまち
(4)環境と調和した持続可能なまち
(5)だれもが安全安心で快適に暮らし続けられるまち
(6)みんなで支え合い、だれもが健康にいきいきと暮らせるまち
(7)未来を創る人を育み、だれもが学び、楽しみ続けられるまち
(8)多様な主体による地域経営
4 おわりに

1 はじめに

未だ収束の気配を見せない新型コロナウイルス感染症は、市民に不安を与え続けるとともに、これまでの社会に潜んでいた課題を顕在化させるなど、社会全体に大きなインパクトを与えています。

その中で、私たちは今、「これからどんな社会をつくるのか。」「どんなまちをつくるのか。」ということを問われています。

現代は大きな変化の時代であり、10年後のことは誰にも明確には見えていません。今確かなことは、過去の延長線上には道はないということ、そしてよく見えないからと言って何もしなければ取り残されるということです。

私たちは、はっきりと先が見通せない時代だからこそ、変化に身をまかせるのではなく、勇気を持って前へ踏み出し、未来を創造していかなければなりません。

このような時代の転換期のなか、平成23年度からスタートした「長崎市第四次総合計画」の計画期間が令和3年度末をもって終了します。

私たちはこの11年間のまちづくりにおいて、第四次総合計画に掲げた方向性のもと勇気を持って歩みを進め、「経済」の活性化を図るとともに、「まちの形」や「まちを支える仕組み」を変えてきました。

自ら変化することを恐れず前に進んできたという経験は、次の10年間のまちづくりを進める大きな力になりますし、これからの時代も乗り越えていけるという大きな自信になっています。

変化の時代において大切なことは、ビジョンを描き、方向を見定めたうえで踏み出していくということであり、1歩目を踏み出した人にだけ、2歩目、3歩目が見えてくるのだと思います。

私たちは第四次総合計画のもと、これまでも着実に歩みを進めてきました。そして、これから始まる令和4年度は、長崎の未来を切り開く次の1歩を踏み出す年として、重要な1年になります。

例えば、長崎開港451年目の今年は、次の節目である開港500周年、2071年に向けた船出の年です。

また、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロをめざす「ゼロカーボンシティ長崎」の実現に向けた取組みも加速していきますし、被爆100年にあたる2045年を見据え、被爆者のいない時代が到来しても平和な世界の実現に貢献していくことをめざす「PEACE100アクション」に基づく取組みも動き出します。

そして、2030年までの方向性を示す「長崎市第五次総合計画」がスタートします。

第四次総合計画において将来の都市像に掲げた「個性輝く世界都市」「希望あふれる人間都市」をめざすまちづくりは、第2章に入ります。

ですが、これから始まる第2章は第1章からの単なる続編ではなく、これまでの成果や経験を糧に次の目的地をめざす新たな旅路であると捉えています。

「世界都市」「人間都市」は、とても遠いところにあって、常に進むべき方向を示してくれる北極星のような目標ですが、第五次総合計画においては、地上の目的地として「めざす2030年の姿」も描いています。

市民や審議会、市議会など、多くの皆さまからご意見をいただきながらつくりあげた新しい総合計画に基づき、「めざす2030年の姿」というビジョンを実現するため、しっかりとした1歩を踏み出していきます。

2 令和3年度の予算編成

令和4年度については、「めざす2030年の姿」の実現に向け、積極的に未来を創造していくための予算を編成しました。

特に、長崎市が抱える喫緊の課題や社会を取り巻く重要な変化にしっかりと対応していくため、
・コロナ禍からの社会・経済の復興
・人口減少克服・長崎創生に係る取組み
・官民挙げたデジタル化の加速による暮らしやすさの向上
・ゼロカーボンシティの実現に向けた取組み
の4つを重点的に取り組むことに掲げ、「暮らしやすさの向上」と「未来へのしくみづくり」に取り組みます。

一方、長崎市の財政状況は、人口減少に伴う地方交付税の減収に加え、コロナ禍による市税等の減収や感染症対策をはじめとする財政需要の増加などにより、今後も厳しい財政運営が続くことが見込まれます。

このような中で、将来にわたり持続可能な財政運営を行っていくために、新たな自主財源の確保や行政サービスの規模の最適化、デジタル化の推進による業務の効率化など、歳入・歳出両面で「戦略的な収支改善」に取り組むことで、収支ギャップに対応していきます。

3 令和4度の主な取組み

令和4年度における主な取組みについて、第五次総合計画の体系に沿って説明いたします。

(1)独自の歴史・文化を活かし、多様な交流と満足を生み出すまち

長崎のまちは、1571年の開港以来、多様な交流の中で独自の歴史・文化を育み、暮らしや産業の繁栄につなげてきましたが、コロナ禍は、人々の往来を停滞させ、地域経済や国際交流などに大きな影響を与えました。

新型コロナウイルス感染症の流行から2年以上が経ち、ワクチンの接種や治療薬の開発は進んでいるものの、感染力の強い新たな変異株が世界中で流行するなど、未だ予断を許さない状況が続いています。

このようななか、長崎市においては、昨年秋に長崎のもざき恐竜パークと出島メッセ長崎が開業し、今年の秋には西九州新幹線が開業するなど、新たな訪問客を迎え入れるチャンスの時を迎えています。

これらのチャンスを逃さず、交流を広げ、まちの活力に変えていくため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策を徹底しながら、観光地域づくりの舵取り役であるDMOと役割分担し、観光・MICEの振興を図っていきます。

まず、資源を磨き、コンテンツを創造する取組みです。

●文化財を適切に保存し、有効活用を図っていくため、国指定重要文化財旧オルト住宅や国指定史跡曲崎古墳群の見学通路の整備を進めます。

●郷土芸能や伝統行事を継承していくため、長崎郷土芸能保存協議会への支援を拡充し、コロナ禍により2年連続で開催見送りとなった郷土芸能大会への参加団体数の増加等を図るとともに、牧島ペーロン体験施設の建替えに向け、設計等に着手します。

●これまで取り組んできた「まちぶらプロジェクト」により魅力が増したまちなかエリアを体感してもらうことで、さらなる賑わいの創出につなげていくため、「まちぶらプロジェクト10周年イベント」を開催します。

●昨年オープンした長崎のもざき恐竜パークへの周遊を促進するため、クルーズツアーの実証事業を行います。

次に、安全安心・快適な滞在環境を整備する取組みです。

●西九州新幹線の開業にあわせて長崎駅に新たな総合観光案内所を開設するとともに、東口駅前広場等の整備を進めます。

●出津教会堂の敷地内にインバウンド対応の来訪者用トイレを設置するなど、世界文化遺産の受入環境の充実を図ります。

西九州新幹線の開業効果を最大化する取組みです。

●西九州新幹線の沿線5市で連携し、開業PRや誘客促進事業を実施するほか、開業時には開業記念イベント等を開催します。

●JRグループや県等と共同で「佐賀・長崎デスティネーションキャンペーン」を展開し、誘客促進を図ります。

●西九州新幹線開業にあわせて誘致した全国都市問題会議を出島メッセ長崎で開催します。

観光・MICE関連産業を活性化する取組みです。

●MICE開催による効果をまち全体に波及させるため、「まちMICEプロジェクト」において、ユニークベニューの活用やおもてなし機運の醸成などに取り組みます。

観光地域づくりを推進する取組みです。

●DMOが実施するデジタルマーケティングによるニーズ把握や、長崎市の観光ブランドを柱とした誘客プロモーションなどを支援します。

国際交流の充実を図る取組みです。

●日中国交正常化50周年記念事業として、訪問団の派遣・受入れを行い、友好を深めます。

(2)平和を愛し、平和の文化を育むまち

被爆の実相を広く世界に伝え、核兵器のない世界の実現に貢献することは、被爆地長崎の大切な使命です。

これまで平和活動をけん引してきた被爆者がいない時代においても、被爆地長崎がその使命を果たしていくため、被爆者の声を聞ける今しかできないことや、今のうちに準備しておかなければならないことを明らかにし、戦略を持って取り組むことは喫緊の課題です。

このような背景のもと被爆100年を見据え策定した「PEACE100アクション」では、「被爆の記録と記憶を未来につなぎます」、「平和について考え行動する人を増やします」を基本方針として掲げています。

これらの基本方針のもと、「被爆の記憶プロジェクト」、「平和の文化プロジェクト」、「原爆資料館進化プロジェクト」を設け、若い世代にも共感を得られるような時代に応じた伝え方を取り入れながら、スピード感をもって進めていきます。

まず、「PEACE100アクション」に基づく取組みです。

●「被爆の記憶プロジェクト」として、今後益々重要な役割となる被爆資料の保存・活用等を強化します。また、長崎原爆遺跡にデジタル技術を活用した新たな被爆の実相の伝え方を導入するとともに、「城山国民学校カラスザンショウ」移設後の跡地整備を行います。さらに、長崎県防空本部跡については、保存整備や展示の更新等により、見学環境の向上に努めます。

●「平和の文化プロジェクト」として、「平和の文化キャンペーン」期間を設定し、関係機関や民間団体と連携しながら、その認知度向上を図るとともに、考えよう!「SDGs×平和」事業と題して、環境を入口に、子どもたちが平和について学ぶ機会を創出します。

●「原爆資料館進化プロジェクト」として、「核兵器のない世界を目指して」のコーナーの展示の見直しを進めるとともに、必要な機能や時代のニーズにあわせた展示のあり方の検討にも着手します。

また、核兵器廃絶に向けた取組みについても、しっかりと進めていきます。

●コロナ禍で延期が続く第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議や核兵器禁止条約第1回締約国会議において、核軍縮に向けた具体的な道筋が示されるよう、被爆地長崎の平和への思いをしっかりと訴えます。

●長崎大学と県、市で組織する「核兵器廃絶長崎連絡協議会」が設立10周年を迎えることにあわせて、様々な記念事業を実施し、核兵器のない世界の実現に向けた機運醸成を図ります。

(3)人や企業に選ばれ、産業が進化し続けるまち

感染症の流行や環境問題・社会貢献への意識の高まりといった世界的な動きとともに、日本のデジタル化の遅れや少子高齢化による労働力不足といった課題がある中で、産業分野は大きな変化を求められています。

このようななか、企業等において、環境問題や地域課題の解決に取り組む中で、多様な関係者と連携し、新たなサービスや製品等を生み出そうとする動きがあるほか、人や企業は「大都市への集中」から「地方への分散」を意識するようになっています。

豊かな個性を持ち、ビジネスの種が多く眠っている地方都市長崎にとって、こうした流れは大きなチャンスです。

このような社会の変化に対応する企業等の動きを捉え、金融機関や大学等と連携し、時代にあった支援を行うことで、産業の進化を支えるとともに、その担い手となる人や企業を長崎に呼び込むため、移住支援や企業誘致等に取り組みます。

まず、新たな産業を生み出す取組みです。

●「新産業の種を育てるプロジェクト」において、県外企業と地場企業のコミュニティを創出し、イノベーションを生み出す土壌をつくるため、市内へのサテライトオフィスの設置を促進するとともに、行政のオープンイノベーションを推進するため、行政課題を整理し、官民共創による新たなプロジェクトの組成につなげるなど、引き続き、オープンイノベーションの推進やスタートアップの支援に取り組みます。

次に、時代にあった事業展開を支援する取組みです。

●脱炭素型の経営に積極的に取り組む中小企業を支援するため、融資制度の支援内容を拡充するとともに、新事業展開やDXによる生産性向上などを促進するため、事業者が実施する設備の導入や人材育成等を支援します。

●中小企業における新たな顧客や外貨の獲得を促進するため、SNSマーケティングやECサイトによる販売促進などの取組みを支援するほか、クラウドファンディングを活用した新製品開発や販路開拓を支援します。

水産業を活性化する取組みです。

●スマート水産業を推進するため、養殖関係団体などのICT化を支援します。

●地場企業が開発したゼロカーボンにも寄与する人工藻場礁を活用し、藻場の再生やイセエビの資源回復に取り組みます。

●担い手不足の解消を図るため、就業希望者が漁業技術を習得するための支援を拡充します。

農業を活性化する取組みです。

●有害鳥獣対策として、ドローンを活用した追払いや動向に関する調査などに取り組むとともに、被害が多発している市街地において、市道を活用した広域防護柵の設置を進め、さらなる被害軽減に努めます。

●担い手不足の解消を図るため、新規就農者に対する一定期間の給付金支援などを実施し、就農初期段階における不安の軽減を図り、経営安定につなげます。

食の魅力創造と消費拡大を図る取組みです。

●事業者と若者の協働による若者のアイデアを活かしたシュガーロードにまつわる新商品開発を支援することで、新たな魅力創造と消費拡大を図るとともに、「若者がチャレンジできる場」を提供し、若者の地元就職や創業への気運を高めます。

●長崎の魚の消費拡大を図るため、食べ方をイメージしやすいキャッチコピー「さしみシティ」を軸として、DMOと連携した域内外へのプロモーションの強化や魚を楽しめるイベントの開催などに取り組みます。

移住を支援する取組みです。

●移住者に対する補助金について、支給世帯数を拡大するとともに、子育て世帯への補助額を増額するほか、新たにグリーンツーリズムツアーの参加者と移住者との交流会を開催し、長崎への移住や多様な関わりに対する興味を喚起します。

(4)環境と調和した持続可能なまち

昨年3月、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロをめざす「ゼロカーボンシティ長崎」を宣言しました。

あれから1年が過ぎようとしていますが、この間、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議、いわゆる 「COP26」において、2050年の温室効果ガス実質排出ゼロと、その経過点である2030年に向けて、野心的な取組みを締約国に求めることが合意されました。

また、国において、今後のエネルギー政策の道筋を示す「第6次エネルギー基本計画」や、多くの地域での脱炭素化推進をめざす「地域脱炭素ロードマップ」が策定されるなど、気候変動による悪影響を回避しようとする大きな動きが益々加速しています。

めざす都市像に「世界都市」を掲げる長崎市は、地球に住むメンバーの一員として、この世界が抱える共通の課題の解決に、しっかり貢献していきます。

地域や事業者、行政はもとより、未来を生きる若者や子どもたちなど、あらゆる人々が自分事として捉え、一体となった取組みを力強く進めるため、脱炭素に向けたライフスタイルへの転換や再生可能エネルギー活用の推進などに取り組みます。

まず、脱炭素に向けたライフスタイルへの転換を図る取組みです。

●公共施設の照明のLED化や公用電気自動車の導入などにより、市が率先して温室効果ガスの排出削減を図ります。

●市民等の環境行動に対する意識を醸成するため、出前講座による啓発活動に取り組むとともに、小中学校における環境講座や親子向け環境イベントを開催します。

●「環境行動の推進役」であるサステナプラザながさきを通じて、若者や環境活動を実施する団体の脱炭素推進活動を支援します。

●公用電気自動車へのラッピングの施工により、脱炭素に向けた普及・啓発を図ります。

●電気自動車の導入を促進するため、充電インフラ空白地域の解消に向け、長崎のもざき恐竜パークと道の駅夕陽が丘そとめにおける急速充電設備を整備するとともに、公用電気自動車に外部給電器を設置することで、災害時の停電に備え、それを通じて電気自動車の活用方法をPRします。

●省資源化・脱炭素化に寄与するマイボトル運動を推進し、環境に配慮しながら安全安心でおいしい水道水のPRを図るため、新市庁舎とあぐりの丘、長崎市科学館に「給水スポット」として、マイボトル用冷水器を設置します。

●資源循環型社会の実現をめざし、使用済みペットボトルを繰り返し再生する「ボトルtoボトル」の拡大に向け、民間と連携して実証事業を実施します。

次に、再生可能エネルギーの活用を推進する取組みです。

●市域における再生可能エネルギーの導入目標を設定するため、ポテンシャル調査を実施するとともに、公共施設における太陽光発電などの再生可能エネルギーの計画的で効果的な導入に向け、導入可能性調査を実施します。

●路面電車の架線網を活用した再生可能エネルギーによる分散型エネルギーインフラの構築などをめざし、大学等と連携した取組みを進めます。

廃棄物処理を適正化する取組みです。

●エネルギー回収効率が高く、温室効果ガスの排出削減にも貢献できる新東工場の令和8年度の稼働開始に向け、DBO方式による整備運営事業に着手します。

●ICTを活用し、ごみの量や収集運搬ルートなどのデータを収集・分析することで、ごみ収集量の均一化や収集運搬ルートの最適化等を図り、温室効果ガスの排出削減につなげます。

(5)だれもが安全安心で快適に暮らし続けられるまち

今、都心部を中心に、長崎駅周辺の再整備や長崎スタジアムシティの建設、新大工町地区の再開発が進むなど、官民挙げた大型プロジェクトによって、都心部は大きく進化中であり、よりコンパクトに都市機能の充実が図られています。

また、都心部と生活に必要な都市機能が集まった地域拠点等をつなぐネットワークづくりも重要であり、地域をつなぐ道路ネットワークについては、長崎南北幹線道路など幹線道路の計画・整備が進んでいます。一方、公共交通事業者は、コロナ禍や人口減少等の影響を受け、厳しい経営状況が続いており、バス事業者間において共同経営の導入に向けた協議が進められるなど、状況改善に向けた懸命な改革が進められています。

このようななか、長崎駅周辺や浦上川沿いを中心に進む各種プロジェクトの効果を、都心部全体の活性化につなげていくため、新しいまちづくりの方針として「長崎都心まちづくり構想」を策定するとともに、公共交通の維持を含むネットワークの形成を進めるほか、しなやかで強く、あらゆる世代が暮らしやすい住環境づくりに取り組み、人口減少や高齢化が進んでも、安全安心で快適に暮らし続けられる「ネットワーク型コンパクトシティ長崎」の実現をめざします。

まず、都心部全体の活性化を図る取組みです。

●国、県、市をはじめ、市民や経済界も一丸となって、将来のまちづくりの方向性を共有しながら、長崎駅周辺や浦上川沿いで進む各種プロジェクトの効果を、都心部全体の活性化につなげていくため、新しいまちづくりの方針として、「長崎都心まちづくり構想」を策定します。

次に、良好な道路ネットワークを形成する取組みです。

●令和4年度の完成に向け整備が進められている西彼杵道路時津工区や、新規事業化をめざしている長崎南北幹線道路の着実な進捗を図るため、市議会をはじめ、県や地元経済界などと連携した取組みを進めます。

持続可能な公共交通ネットワークを構築する取組みです。

●「まちをつなげるプロジェクト」において、「(仮称)長崎市(東部地区)地域公共交通利便増進実施計画」を策定するとともに、東部地区のバス路線を維持するため、地域や公共交通事業者と協議しながら、ハブ&スポーク型運行への再編を後押しするほか、バス空白地等における新たな輸送手段の検討を民間と連携して進めます。

魅力あふれるコンパクトなまちをつくる取組みです。

●「まちぶらプロジェクト」において、新大工町地区市街地再開発事業の完成に向け支援を継続するとともに、新大工町と伊勢町を結ぶ新大工歩道橋の整備を進めます。

●長崎に新しい魅力をもたらす長崎スタジアムシティプロジェクトの推進に向け、施設整備を支援するとともに、安全で円滑な交通環境を確保するため、周辺道路の環境整備に着手します。

●長崎南北幹線道路の事業化を契機として、平和公園西地区については、再整備基本計画を策定するとともに、総合運動公園の未整備区域については、建設残土の受入れを想定し、将来の整備を視野に入れた造成計画策定に着手します。

安全安心で暮らしやすい住環境をつくる取組みです。

●「住みよかプロジェクト」において、若い世代が自分のライフスタイルにあわせて住まいを選択できるよう、住みよかプロジェクト協力認定制度を活用し、民間企業と連携した取組みを推進するとともに、市営住宅の一部をリフォームし、子育て世帯や新規就労者向けに供給するほか、令和4年度に完成する野母崎地区の市営住宅においては、建替え対象となった世帯に加え、地域の担い手となる若い世代の入居を募集します。

災害に強いまちをつくる取組みです。

●災害が頻発化・激甚化する近年の状況を踏まえ、平成30年に策定した立地適正化計画に、新たに防災指針を盛り込むなど、安全安心なまちづくりの推進に向けた改訂に着手します。

●地域のかたなど支援者の声かけや支え合いにより、一人で避難することが困難なかたを支援していくため、個別避難計画の作成に取り組みます。

●今年、昭和57年に発生した長崎大水害から40年を迎えますが、この記憶を風化させることなく継承するため、関係機関と連携したメモリアル事業や若い世代を対象とした防災教育を実施するなど、引き続き、市民の防災に対する意識の啓発に取り組みます。

(6)みんなで支え合い、だれもが健康にいきいきと暮らせるまち

子ども・子育て支援は、長崎の未来づくりの大きな柱として、とても重要な取組みです。

今年の秋には、雨の日でも子どもたちが思いっきり遊べる施設として、あぐりの丘に全天候型子ども遊戯施設をオープンします。

「子どもをみんなで育てる子育てしやすいまち」をめざし、引き続き、子どもと子育て世代をしっかりと支援するサービスの提供等に取り組みます。

また、コロナ禍は、人と人とのふれあいを一層遠ざけるとともに、私たちの社会が持つ弱点を顕在化させました。

そして、これによって私たちは、人と人とが協力したり、励まし合ったりすることの大切さや、社会を支えてくれている人たちの存在に改めて気づくなど、多くのことを学びました。

これらの教訓を活かし、コロナが拡大する前よりも、もっと安心して暮らせるまちになることをめざして、子育てや福祉サービスの環境整備、地域における支え合いの仕組みづくり、新技術を活用したサービスの向上などを進めます。

まず、子育てしやすい環境の充実を図る取組みです。

●「あぐりの丘」において、「こども元気プロジェクト」で整備を進めてきた全天候型子ども遊戯施設を10月にオープンするなど、子どもの遊び場としての魅力向上を図ります。

●東公園において、コミュニティ体育館の一室を乳幼児向けの遊び場としてリニューアルするとともに、屋外にユニバーサルデザイン遊具を整備します。

●子育て世代包括支援センターについては、市庁舎の移転に伴い、子育て関連機能をワンフロアに集約することから、子育てワンストップ窓口を設置するとともに、母子健康手帳の交付時において、専門職の保健師等が妊婦の全員と面接を実施するなど、機能強化に取り組みます。

●子育て支援センターについては、令和5年度中の市内全区域への設置完了をめざし、施設の整備等に取り組みます。

●ふれあいセンターを赤ちゃんの駅として利用できるよう、設置可能なセンターに順次おむつ替えシートを設置していきます。

次に、安心して子どもを預けられる環境をつくる取組みです。

●民間保育所等における事務のICT化を推進することにより、保育士等の負担軽減を図るとともに、より安全安心な給食を提供し、食育の推進を図るため、市立保育所と市立認定こども園における主食の提供対象者を全ての児童に拡大します。

●保育所や放課後児童クラブ等で働く職員の処遇を改善し、人材の確保を図るため、収入を3%程度引き上げるための費用を補助します。

子育てに関する情報を発信する取組みです。

●子育て応援情報サイト「イーカオ」に利用者目線での率直な意見を取り入れ、より分かりやすくするため、「パパママモニター」を導入するとともに、子育て世代の公園利用を促進するため、新たにホームページを開設し、楽しく遊べる公園情報を発信します。

高齢者を地域で支える仕組みをつくる取組みです。

●地域コミュニティ連絡協議会と協働し、高齢者等のごみ出し支援に関するモデル事業を実施します。

障害者支援の充実を図る取組みです。

●相談支援の中核的な役割を担う基幹相談支援センターを設置するとともに、発達障害児等の診療数の増加に対応するため、医師等を増員し受入体制の充実を図り、診療待機期間の短縮をめざします。

●障害の特性により通所や通勤が困難な重度障害者などに、テレワークロボットを活用し、新市庁舎の案内業務等に従事してもらうことで、障害者の社会参加や就労支援の拡充につなげます。

被爆者援護の充実を図る取組みです。

●高齢化が一段と進み、健康不安や介護を要する方が年々増加するなか、被爆者に寄り添った援護施策の充実を、引き続き国に要望します。

●広島の「黒い雨」訴訟の結果を踏まえた審査の指針改正において、広島の黒い雨体験者と同様に、長崎の被爆体験者も被爆者として認めていただくよう協議を続けるなど、被爆体験者の救済と支援事業の充実を、引き続き国に強く要望します。

DXにより地域医療体制を維持する取組みです。

●離島でも安心して医療を受けられるようにするため、池島診療所において、遠隔診療を試行的に実施し、導入に向けた検討を行います。

動物愛護を推進する取組みです。

●長崎市動物の愛護及び管理に関する条例を制定し、動物の愛護に関する理念や動物の適正飼養に関するルール等を定め、これを市民等に広く周知することなどにより、動物愛護の機運を醸成し、動物による生活環境被害を防止するなど、人と動物の共生社会の実現に努めます。

(7)未来を創る人を育み、だれもが学び、楽しみ続けられるまち

グローバル化の進展や絶え間ない技術革新、SDGsの達成に向けた意識の高まりなどを背景に、子どもたちがこれからの社会を生きていく中で必要となる力も、少しずつ変わってきています。

また、コロナ禍により、人と人とが直接触れ合う機会や、イベントの開催をはじめ様々な活動の機会が制限されたことで、交流や芸術文化・スポーツなどが人々の生活の豊かさに与える影響の大きさに、改めて気づかされました。

このような状況を踏まえ、子どもたちがいかなる時代や環境の変化の中にあっても強く生き抜く力を身につけるため、教育環境の充実を図るとともに、生涯にわたってだれもが学び、交流し、楽しみ続けられるまちとするための環境づくりなどに取り組みます。

まず、次代を見据えた教育環境の充実を図る取組みです。

●「長崎市GIGAスクール構想」を推進するため、通信環境が整備されていない準要保護世帯に対し、通信費を支援することにより、学校だけではなく、家庭での学習機会を確保するとともに、長崎市科学館に通信環境を整備することで、オンライン講座の実施や見学時におけるオンライン調査学習の促進等を図ります。

●子どもたちの国際性を育むとともに、グローバルな視点から環境問題について深く考えるきっかけをつくるため、外国の子どもと長崎市の小学生がオンライン上で意見交換を行う、子ども国際会議を開催します。

次に、安全・安心に通学できる環境をつくる取組みです。

●小中学校の統合に伴い、公共交通機関の利便性が低い地区からの遠距離通学を余儀なくされる児童生徒の心身の負担軽減と通学時の安全の確保を図るため、一定の要件を満たす場合にスクール専用交通を導入します。

●通学路における児童等の安全を確保するため、昨年実施した通学路点検の結果を受け、緊急的な対策が必要と判断された箇所について、歩道整備や防護柵設置などの対策工事等を実施します。

芸術文化・スポーツを楽しめる環境をつくる取組みです。

●芸術文化の振興については、新たな文化施設の整備に向け、管理運営計画の策定等に着手します。

●コロナ禍において停滞していた芸術文化活動の再開を支援するため、新たに助成制度を設けるほか、第70回を迎える市民演劇祭をブリックホールで開催し、多くの市民が芸術文化に触れる機会を創出します。

●令和5年3月に遠藤周作が生誕して100年を迎えることから、遠藤文学の魅力を市内外へ伝え、その功績を称えるとともに、後世に引き継ぐため、遠藤周作生誕100年記念事業を実施します。

●スポーツの振興については、様々な競技に実際に触れることでスポーツへの関心を高め、スポーツを始めるきっかけをつくるため、子ども向けのスポーツ体験教室を開催します。

若者が楽しむことができる場を創出する取組みです。

●長崎スタジアムシティ前のJR在来線の高架下における「(仮称)若者ひろば」の整備に向け、若者の意見を聞きながら設計を進めるなど、「若者が楽しめ、活躍できるまち」をめざす「長崎×若者プロジェクト」を推進します。

(8)参画と協働によるまちづくりと確かな行政経営を進めるまち

私たちはコロナ禍において、国・県・市、大学、病院、事業者、地域など、様々な人たちが力をあわせ、それぞれが力を発揮することが、まちを守る大きな力になることを学びました。

また、人々の価値観が変容し、デジタル化の流れが加速するなど、今、参画と協働の仕方や行政経営のあり方は、大きく変わろうとしています。

この「変化の大きな時代」にあっても、訪れる「変化」にしっかり対応しながら、これから想定される「変化」も先取りしてまちづくりを進めるとともに、質の高い行政サービスを提供し、市民の暮らしやすさをつくり続けていくためには、市民や地域、事業者など多様な主体と連携しながら、市役所も進化し続けていくことが不可欠です。

そのため、新市庁舎の開庁や「長崎市DX推進計画」の策定を契機として、これまでのやり方にこだわることなく、新たな発想による業務改革や中長期的な視点での人財育成を進めるとともに、様々な場面で多様な主体と手を取り合うことで、自律的で持続可能な地方政府の基盤づくりを進めます。

まず、多様な主体との連携を強化する取組みです。

●包括連携協定の締結などにより、民間企業との連携強化を積極的に進め、民間企業のノウハウや資源などを活用した地域課題の解決等に取り組みます。

●老朽化した社会福祉会館の更新を行うため、長崎放送株式会社と連携した共同開発を進めます。

●更新時期を迎える浦上浄水場と道ノ尾浄水場について、近隣町との共同整備の協議を進めるとともに、官民連携手法を積極的に検討し、水道事業のコスト削減をめざします。

次に、安定した収入の確保を図る取組みです。

●新たな財源を確保するため、観光の振興を図ることを目的として宿泊税条例を制定するとともに、市有施設等の命名権を与えることで対価を得るネーミングライツ制度を導入します。

●債権管理条例に基づく適正な債権管理を推進するため、回収困難事例の相談体制充実や法的措置が必要な債権の一括管理、専門的知識を持った職員の育成などに取り組みます。

人が主役のまちづくりをデジタル技術で加速させる取組みです。

●新市庁舎開庁にあわせて総合窓口システムを稼働させ、市民が「書かない」「迷わない」窓口を実現することで、市民サービスの向上と事務の効率化を図ります。

●行政のデジタル化の基盤となるマイナンバーカードの普及を図るため、商業施設や企業、地域等に出向いて行うマイナンバーカード出張申請受付を拡大します。

●子育てや介護などマイナンバーを利用する行政手続きについて、ぴったりサービスを活用したオンライン化を進めるとともに、その他様々な手続きについても、来庁せず、いつでもどこでもスマートフォンなどで手続きを完了できるよう、基盤となるシステムを導入し、順次オンライン化していきます。

●市役所に来なくてもインターネット上で都市計画や道路の情報、地番図、上下水道配管図を閲覧できるサービスを提供します。

●市職員の多様な働き方を推進するとともに、災害時などにも行政機能を維持することなどを目的としたテレワーク活用推進の一環として、職員が通常勤務している庁舎以外でも就業できるサテライトオフィス勤務を推進するための環境を整備します。

●地域の課題解決や新たなサービスの創出をめざし、長崎県が新たに構築した県下統合のデータ連携基盤を活用することで、様々なデータを共通利用できるようにするとともに、その活用方法について、企業や大学等と連携した検討を進め、都市のデジタル化の基盤づくりを進めます。

以上、申し述べました方針に基づいて編成した令和4年度予算は、

一般会計 2,167億1,000万円

特別会計 1,147億9,641万2千円

企業会計 384億4,897万7千円

合 計 3,699億5,538万9千円

となっています。

4 おわりに

今、長崎のまちは100年に一度とも言える大きな進化の時期を迎えています。

昨年の出島メッセ長崎に続き、今年の秋には西九州新幹線が開業し、来年1月には新市庁舎が開庁します。さらに、これからの数年は、長崎スタジアムシティプロジェクトや新長崎駅ビルの建設といった民間事業者による大型事業が進むなど、まちの機能が益々充実していきます。

また、幹線道路の整備や公共交通の再編にも進展が見られるほか、今年の春からは市内全域で超高速インターネットサービスが利用可能になるなど、ネットワークも進化していきます。

都市に必要な機能を備えた都心部や各地域拠点と、それぞれの生活地区が、公共交通や道路、情報などでつながり、まち全体としてバランスの取れた暮らしやすさがあるまち「ネットワーク型コンパクトシティ長崎」の実現に向け、様々な動きが着実に進んでいます。

このようにまちの形が変わり「進化」していく中で、市役所の仕事も「進化」させていかなければなりません。そして、この「進化」を進めるうえで、特に重要となるいくつかの「変化」があります。

一つ目の変化は「市庁舎の移転」です。

令和5年1月4日に開庁する新市庁舎においては、これまで分散していた庁舎を集約し、部局間の連携を強化するとともに、身近な手続きを可能な限り書かずに、迷うことなくできる総合窓口、市民との協働や交流のスペース等の設置に加え、ICT化による事務の効率化などにより、ハード・ソフトの両面から市役所を進化させ、市民サービスの向上を図ります。

二つ目の変化は「デジタル技術の進歩」です。

急速に進歩していく技術を、豊かな暮らしやまちの進化のために、どのように使うのかを考えていかなければなりません。

そこで、人が主役のまちづくりをデジタル技術で加速させ、住む人も、訪れる人ももっと快適で楽しめるまちをめざす「長崎市DX推進計画」に基づき、地域の課題が解決され自分らしい暮らしを実現する「暮らしのデジタル化」、多様なつながりと新たな体験・価値を実感してもらう「交流のデジタル化」、一人ひとりにあった、利用しやすいサービスの提供をめざす「行政のデジタル化」の3つの側面から、様々な施策を推進していきます。

この動きを今後3年間で加速させるため、デジタル関連事業予算の枠組み「DXパッケージ」をスタートし、デジタル化の効果がより高い施策から重点的に取り組みます。

三つ目の変化は「脱炭素社会の実現に向けた動き」です。

地球温暖化とそれに伴う気候変動は、未曽有の自然災害や干ばつによる食料危機といった現象を引き起こしており、地球温暖化防止対策は、世界共通の最優先課題となっています。

そのため、「ゼロカーボンシティ長崎」の実現に向け、2022年をゼロカーボン元年として、関連事業予算の枠組み「ゼロカーボンパッケージ」をスタートします。

市民や事業者などと一体となって、暮らしや産業、観光など様々な分野における脱炭素化を推進し、世界が抱える課題の解決に貢献していきます。

四つ目の変化は「多様な主体によるまちづくりの進展」です。

昨今、地域課題をビジネスや社会貢献の資源として、新しい技術やサービスにより解決する動きが起こってきているほか、地域コミュニティのしくみづくりと行政サテライト機能の再編成を進めてきたことにより、地域の課題を地域で解決するという流れも生まれてきています。

これからは、多様な主体とつながって、学び合い、共に新しい社会をつくっていく時代であり、行政がプロデューサーやコーディネーターとなって、それぞれの強みを活かしながら、課題解決に向けて前進していく必要があります。

このように、まちの形だけではなく、行政のあり方や仕事のやり方も、大きな変化の時期を迎えています。

これまで当たり前だったことも、時代の変化にあわせてやり方や形を変えていく。これを出来るか、出来ないかで大きな差がつくこれからの10年間だと思っています。

ただ、ここで忘れてはいけないのは、単に変えていくのではなく、これまでの歴史の中で培われてきた長崎の個性をしっかりと活かしながら変えていくということです。

長崎の個性こそ未来への出発点であり、最大の資源であり、宝であると考えています。

長崎市第五次総合計画のスタートを機に、ギアを「未来」に入れ、「今」と「未来」のための仕事に取り組んでいきますので、今後とも、市民の皆様並びに議員各位の大いなるご支援とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げまして、令和4年度の施政方針といたします。

お問い合わせ先

企画財政部 都市経営室 

電話番号:095-829-1111

ファックス番号:095-829-1112

住所:〒850-8685 長崎市桜町2-22(本館4階)

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