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生きる

更新日:2022年2月1日 ページID:038052

ホッとトーク

 学生時代、手持ちに2000円しかない時に800円出して映画を観に行ったことがあります。あと数日はお金が入る予定がなかったので少し迷ったのですが、とても観たい映画だったので思い切って出掛けました。それは黒澤明監督の『天国と地獄』という映画でした。グイグイ映画に引き込まれ、終わったあとに
「観てよかった」と心から思いました。
 同じ黒澤監督の『生きる』を初めて観た時のことも覚えています。東京の小さな映画館で、二本立てでした。一本目が『生きる』だったのですが、すごく感動して、もう一本観ると感動が薄れそうで、一本だけ観て出ました。
 志村喬さん演じる市役所の課長が主人公で、既に市役所に勤めていた私にとっては身近な物語でもありました。何度観ても感動するので、自分の中では今もベストスリーに入る作品です。
 その『生きる』のリメイク版『リビング』をイギリスで製作するというニュースが、昨年、飛び込んできました。しかも、その脚本を担当したのがカズオ・イシグロさんだというのです。

 長崎市の名誉市民であるカズオ・イシグロさんとロンドンでお会いしたのは、2018年7月でした。名誉市民証をお渡しした後、妻のローナさんも交えてお話をしました。
 話はとても弾みました。長崎のこと以外に、映画の話もいろいろと出ました。古い日本映画にとても詳しく、黒澤監督や小津安二郎監督の作品をたくさん観ておられました。
 その時に、イシグロさんが「子どもの時におじいさんと一緒に観た映画があるんですが、タイトルが思い出せないんです」と言われました。
 イシグロさんはお父さんの転勤で、5歳の時に長崎からイギリスに渡ったのですが、長崎時代によくおじいさんに電車で街に連れて行ってもらったそうです。「その映画は日本の成り立ちの物語で、怖かった覚えがあります」と言うので、あとで調べて昭和34年製作の稲垣浩監督『日本誕生』という映画かもしれません、とお伝えしました。私も観たことはありませんが、インターネットの情報がお話とよく符合したからです。
 いずれにしても、日本映画にとても詳しいイシグロさんが、あの『生きる』をどんな脚本にリメイクされたのか、とても楽しみです。今年封切りだそうですが、日本の映画館で上映されるかどうかは確認ができていません。上映されればぜひ観たいものです。

 4年前にロンドンでお会いした時に、長崎訪問についてお願いしました。いつか必ず長崎においでいただけると思います。
 でも今はコロナ禍が収束し、海外渡航が解禁になって、心置きなく来日できる日がくるまで、もう少し待たなければなりません。最新作
「クララとお日さま」に続く映画『リビング』は、それまでの時間を楽しむためのプレゼントかもしれません。いつか長崎でお会いできる日を楽しみに待つことにしましょう。

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