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平成30年度第5回 長崎市文化振興審議会

更新日:2019年9月2日 ページID:033382

長崎市の附属機関について(会議録のページ)

担当所属名

文化観光部 文化振興課

会議名

平成30年度第5回 長崎市文化振興審議会

日時

平成31年2月24日(日曜日)16時30分~18時30分

場所

長崎市民会館6階 第9・10会議室

議題

 (1)長崎市新たな文化施設基本構想骨子(案)
 (2)長崎市のホール型施設の概要
 (3)その他

審議結果

 前回、回答を保留していた(1)県庁跡地に埋蔵文化財があった場合の対応、(2)基本構想の中で事業手法まで記載するのかの2点について事務局から回答。また、長崎市の文化施設の現状と課題、基本コンセプト、基本理念について説明。その後、新たな文化施設のコンセプトや基本理念について意見交換を行った。(意見については以下参照)

【会長】

 前回、市への宿題として、県庁舎跡地の埋蔵文化財調査で何か出てきた場合にどうするかということと、(業者選定について)基本構想にどこまで記載するかということの2点について回答願います。

【事務局】

 基本構想は場所に関係なく策定されるものと考えていたが、県庁跡地か市役所跡地のどちらにするか、埋蔵文化財の調査に関心が高いということで、なぜ市が県庁跡地で考えているのか、埋蔵文化財についてどのように考えているのか説明する。

 そもそもホールの建設は市役所跡地で進めていたが、平成26年に県の民間有識者の懇話会から3つの機能のうち、ホール機能が提言された。県・市で似たようなホールを作るのを避けるということ、県庁舎跡地での賑わいの創出でホールは有効であること、県庁舎跡地で作ったほうが早期に完成するということの3点で県にホールを作らせてくださいと市長・議長共に要望を重ね、昨年11月に県・市の共通認識として県庁跡地に3つの機能を作ろうということで公表した。前段として平成21年、22年に県による試掘調査が行われており、その報告書によると旧本館敷地部分はほぼ遺構が残されていないと発表されており、それをふまえ市は県庁舎跡地で進めている。質が高く使いやすいホールを早期に完成させることが市の命題であるため、県庁舎跡地で進めており、もし何か出てきた場合は状況に応じた対応になる。

【委員】

 2月13日に市長は長崎新聞社の県庁舎跡地活用について取材を受けた際に、発掘調査が行われることについて、県庁舎跡地は長い岬ということで長崎の由来にもなった非常に重要な歴史的に意味のある土地であり、歴史的な長崎の重要な部分が今後示されることが増えるということは長崎にとって非常にいいことだと思っていると回答している。また、調査の際に何か出た時の文化ホールの計画の見直しについては非常に厳しいと考えているが、状況に応じて対応していくと回答している。非常に厳しいということならば、当然建てられない場合も想定しておくべき。当初は市庁舎跡地で建設するということが計画であったので、その可能性は残しておくべきで、すでにそこに何か建てる計画が市民の知らないとこで進んでいないかは確認しておきたい。

【会長】

 非常に厳しいとはどのように解釈されたのか。私は計画の変更が厳しいと解釈したが。

【委員】

 何か出てきた場合建てるのが厳しいと解釈した。

【事務局】

 私も計画の変更が厳しいと理解していた。変更が厳しいとなれば、何か出てきた場合、県庁舎本館跡地での整備は諦めなければいけないかなと個人的には考えている。ただ何度も申すがその可能性は低く、今話しを進めており、早くホールを建設するためには県庁舎跡地を活用するべきで、何も出てこない場合にすぐに建設できるよう準備を進めていきたい。

【委員】

 発掘調査次第ではそのほうが遅くなるのでは。

【事務局】

 県では来年調査を実施するために2月議会に予算を計上すると聞いている。市としてはまだ来年は基本計画の段階なので、調整が効くものと考えている。

【委員】

 結果次第ではそこに建設できず、他の場所を探すということも可能性残しているとのことでよろしいか。

【事務局】

 今の所その可能性は低いので、市としては早く建設するために準備を進めていくというのが回答になる。

【委員】

 もともと市役所跡地に建設する計画だったので、県庁跡地に建設できない場合は市役所跡地に建設となると思うが、もし別の計画が市役所跡地建設で動いているのなら、建設できる土地がなくなってしまう事態になるのでそこを危惧している。

【事務局】

 市としては早く建設することを目的としており、建てないという選択肢は無い。

【委員】

 早く建設することも大事だが、何か出てきた場合に別の場所でも建設できることをふまえて基本構想を策定すべき。

【事務局】

 基本構想は場所を特定した形で作ってはいない。長崎市にとって新しい文化施設はどういったものが必要なのかを議論していただくもので、場所が決まらないと構想を策定出来ないということではない。

【委員】

 場所がどこになるかで規模が変わってくる。場所というのは必ず関わってくる。場所は関係ないと言うが、これまで主に県庁跡地で話を進めてきていたので、違和感がある。

【事務局】

 私達としては、建設地が県庁舎跡地であれ、市役所跡地であれ、長崎市にあるべき施設の基本コンセプト、理念、長崎市に求められている機能について意見をいただき、方向性を決める。場所が決定後についての問題や状況の変更については基本計画策定の段階で対応可能と考えている。

【委員】

 県庁跡地と市役所跡地のどちらでも対応できるよう考えておくべき、県庁跡地に建設できない場合にスムーズに計画を変更できる準備をしておくことは必要。

【事務局】

 基本構想策定の段階では影響ないものと考えており、その後は状況に応じて対応していく。

【会長】

 2つ目について回答願います。

【事務局】

 2つ目の基本構想の中で業者やプロポーザルを決めるのか、決めないのであればいつどうやって決めるのかについてだが、基本構想の中では記載しない方向性で考えている。構想の中に記載するとしたら、基本計画策定に向けた検討が必要な課題の項目の一つとして記載する。今後はより具体的な項目を進めていくので、より幅広い市民の皆さまの意見を聞きながら進めていきたいと考えている。業者選定の方法についても構想の中では記載せずに計画の中で記載していく。ただ、全国的にプロポーザル方式がほとんどなので、その手法をとる可能性は高い。

【委員】

 市民の声を聞いて取りまとめるのは市で、設計者に伝えるということか。

【事務局】

 プロポーザルは業者を選ぶことになるので、市は市民の声をとりまとめて、業者と話し合いをすることになる。

【委員】

 茅野市のように設計者が中心となって市民の意見を聞いていくのが良いのでは。

【事務局】

 それらはこれから(基本計画策定)のステップの中になるので、その段階では幅広く意見を聞いてまとめていく。

【会長】

 それでは本題に入っていきましょう。

【事務局】

本日の議題と資料について説明

【事務局】

 長崎らしさを出すためにどの部分をプッシュしていくかについて話をしていただければと考えている。

【委員】

 長崎国際文化センター構想の「精神」は入れなければいけないと考えている。公会堂がそれに基づいて建設したものなので、その精神は入れなければならないと感じている。

【会長】

 「精神」の中で重要なキーワードは平和ということでよろしいか。

【委員】

 国際文化都市として長崎を発展させるのが構想の趣旨で、世界に発信できる文化を育てる都市。被爆から復活できたのはこの計画があったからであり、これを忘れてはいけない。

【委員】

 基本理念については前回の会議の段階で概ねコンセンサスは得られていたのではないかと思うが、そこに長崎らしさを加える必要があるということで、長崎らしさといえば、平和や和華蘭に象徴されるように多様な文化が交わり新しいものが生まれていることだと思う。文化がここで交わるんだ、ちゃんぽんになるんだということは、国際的に何かをアナウンスする際に「だから長崎でするんですよ」というメッセージにしやすいと思う。

【会長】

 先日の第5次総合計画の中でも話が出たが今から10年経つと原爆を経験した人が少なくなる。だからこそ長崎と広島については世界に対して「平和」というメッセージを伝えていく必要がある。その点について何かご意見はないか。

【委員】

 「平和」というのは欠かせないと思う。また、基本理念に書かれている「芸術文化を創造し続ける」というイメージは重要であると考える。ただ、今回資料の送付が遅かったと思う。見てこられていない委員も多いのではないか。一番大事な話というのをこの場で考え始めるというのは無理がある。事前に考えてきてもらい、ここで意見を言ってもらう必要がある。

【会長】

資料の送付については確かにそのとおりであると思う。内容面については、基本理念の資料に記載されている上3つのキーワードは「長崎らしさ」ということであったが、下列右側の「芸術文化を創造し続ける」というのも「長崎らしさ」のグループに入るかもしれない。

文化芸術基本法では文化芸術固有の価値としてまちづくりや国際交流さらには福祉、教育、産業の視点が盛り込まれているところ。例えば先程、「子ども達にメッセージを伝えていきたい」という意見が出たが「教育」について何かご意見はないか。

【委員】

 まず基本理念というのは基本コンセプトの上位概念になると思うので、そこに散らばった単語を入れてしまうとわかりにくくなってしまう。もしかすると、その基本理念の上にそれを囲う大きな枠組みとして長崎市の基本政策理念というものがあるはずでそこを外すことはできない。例えば「個性輝く世界都市を目指す」ということや「希望あふれる人間都市を目指す」、「つながりと創造で新しい長崎をつくる」といった大きな概念がもっと沢山あると思う。それらが網として覆いかぶさってくることになると思う。

 会長がおっしゃった「教育」というのは基本コンセプトにぶら下がってくる部分として明確に書くべきであると思う。劇場としての上位概念としてはぼやけさせないで明確に書くということが一番重要であると私は思う。具体的にどの様な言葉がいいかというのは現時点では思いつかないが世界から見た長崎のポジションというものをちゃんと認識したうえで平和の窓口として、あるいは人と文化芸術が交流することによって世界都市としての存在を示すにふさわしい明確な言葉をこの基本理念に置くべきだと思う。基本理念がブレ出したら終わりだと思う。基本理念の資料の下の段に書かれている「演じる喜び」などについては基本コンセプトにかぶってきているので、必要な文言についてはそこにぶら下げていき、そこはルールとして守っていくのだということをやれば、将来、文化振興条例を作る際にそれをそのまま貼り続ければ文化振興条例になるのではないかと思う。

【会長】

 今のご意見にあった「個性輝く世界都市」、「希望あふれる人間都市」という長崎市の2つのスローガンについては第3次総合計画から第4次総合計画に引き継がれてこの20年間くらい長崎市の基本となっている重要なもの。

【委員】

 1つ気になっているのは「平和」という言葉であるが、平和というのは長崎のもっと上位の概念であって、その平和が脅かされているという意識から基本理念に「平和」という言葉を入れようとしているのか。そもそも長崎のアイデンティティの中に「平和」というものはあると思う。なので、あえてその「平和」というのを基本理念の中に入れるのかということは議論すべきであると思う。

 また基本理念の資料の上の3つのキーワードについては「長崎らしさ」ということで1つにまとめることができると思うが、この「長崎らしさ」というものを抽象的な言葉でいて、その言葉を各団体が使えるような言葉にしていかなければならないのでそこは言葉をしっかり考える必要がある。基本的には上の3つのキーワードについては「長崎らしさ」ということで基本理念としては1つにまとめた方がよいと思う。基本理念の方がコンセプトよりも数が多いというのは違和感がある。基本理念をもっと大きな枠として捉えていなかなければならない。その様な意味では私は「長崎らしさ」であって、その長崎らしさにどの様な言葉をつけるのかといったことを考えると、「平和」や「異文化交流(ちゃんぽん)」が出てくるのかもしれない。その様な言葉が「長崎らしさ」という言葉に足されていれば「そのとおり」となる。実際、建物ができて活用されるとなれば、その長崎らしさを行政が考えるかもしれないし、市民が考えるかも知れない、お客が考えるかもしれない。その際に「自分に何ができるのか」、例えば「平和のために自分に何ができるのか」、「異文化交流として別のジャンルに手を出してみようか」といったことをみんながイメージできるようにするための一番上の概念として基本理念を置くべきである。基本理念の資料の下の4つのキーワードについてももう少し整理をした方がよいと思うが具体的にどうしたらよいかということは今の時点では思いついていない。

【委員】

 先程、基本理念を明確にと言ったのは、劇場が出来て10年、20年たつと維持・補修・運営には多額の費用がかかるようになると思う。そのことについて市民が了承して、かつ行政がとんでもない予算の削減ができない理念を持っておかないと、いつか誰の手に渡るかわからないホールになってしまう。そうであるから、基本理念については市民の皆様が納得できる明確なものを作ったほうがよいと思う。

【会長】

 委員からご指摘があった、あえて平和という言葉を入れる必要があるのかについて何かご意見がある方はいないか。

【委員】

平和という言葉は長崎においては必要なものだと思うし最初に来るものだと思う。私自身も被爆二世であり色んなところで被爆の話をしており、平和を発信できるのは長崎だと思っているし、市民の方もみんなそう思っているのではないか。ただ、これが若い世代になってくると平和が当たり前になってしまっているため、改めて発信しないと「平和」という意味がわからなくなるのではないかと思う。「平和」という意味をわかってもらうためにも長崎から発信し続ける必要があるのではないかと思う。平和が当たり前の世の中だからこそ、新しい文化施設については基本理念の中に「平和」というものは持ってこなければならないのではないかと思う。

【委員】

平和という言葉を大事に使いたい。戦争がないから平和というだけでなく不安や心配事がないことも含めて平和であると思う。長崎は高齢化も進んでいるし人口流出も進んでおり、以外と「安心」ができない状況である。長崎が捉える平和というは何なのかということから考え表現することが大事だと思う。第3回審議会の先進施設の資料に「文化の家」という表現があったかと思うが「文化の家」とは何だろうと自分の頭で考えながら読んでいくことができる。その様に「平和とは何だろう」みんなで考えながら1つのものを文章化していくことが必要なのではないかと思う。

【委員】

 大前提として平和は大事だとは思うが、平和だから文化芸術が楽しめるのであり、平和のための文化芸術ではないのではないかと個人的には思う。自分の作品が作れているということ自体が平和なのであって、平和のために何か作品をつくるというのは感覚としてあまりない。

また、「永遠の平和を願う」という言葉の定義がよくわからず、もしこれを基本理念に書いた場合、もし戦争が起きたらこのホールは閉鎖されてしまうのかとも思ってしまう。

また、「長崎らしさ」という言葉があまり好きではない。例えば、高校生演劇大会などの審査基準に「高校生らしさ」という言葉があるがそれが理解できない。高校生の自分たちがやっている作品であれば「高校生らしい」作品であるはずなのに、それを大人がなぜ「高校生らしさ」という基準で審査をするのか疑問。枠にはめられている感じがしてしまう。「長崎らしさ」についても、この町で育てられて感じていることを表現するから結果として長崎らしい芸術文化を発信しているのであって、「長崎らしい芸術文化を創造しよう」という気持ちではやっていない。なので、そこはもっと違う言葉に変換してほしい。例えば、「歴史性を鑑みて色んな文化を取り入れることの大切さ」や「長崎市民だけでなく、色んな人、国との関わりの中でできた私たちが作っていく芸術文化ホール」というのがいいかなと思っているところ。

また、「つながりが生まれる」という表現も好きではない。「つながりを生み出す」ものであってほしい。「生まれる」だと自動的に発生するような感じがしてしまう。そうではなく、「つながりを作っていくのだ」という意思がほしい。

【委員】

 「平和」とか「長崎らしさ」というのは答えがないオープンクエスチョンである。答えがないからこそ各自が考えて行動をしなければならないものだと思う。この場で「平和」や「長崎らしさ」の統一見解を作ってそれを皆でやっていこうというのは嘘だと思う。そうではなく、皆がそれぞれ頭の片隅に置いて活動するための言葉を理念にすべきだと思う。

【委員】

 「平和」という言葉にこだわらせていただくと、私たちは平和=戦争がないというイメージを持っているが今の子どもたちのことを考えると、戦争の有無だけではなく、平和という定義をもっと大きな概念で考えてほしい。そういった広い意味での平和を打ち出せていけたらと思う。

【委員】

 「平和」というのはここではあえて定義しない方がいいと思う。音楽をやっている立場からすると、音楽は言葉を交わさずとも心を通わせ喜びを共有することができる。それが平和だと思う。「平和」という言葉自体を理念に盛り込まなくても、「国際文化交流都市」など色んな国や文化が交流できる施設があるのだということがあれば、自然と平和に結びつくのではないかと思う。

【委員】

言葉にするのは難しいが文化活動自体が平和だと思う。個人的には「人間」という世界共通の形で考えていけばいいのかなと思う。マケドニアという国はいろんな宗教団体がありいつ戦争が起きてもわからないようなところであるが、そこで詩の朗読大会が行われている。それは、芸術文化活動を通して平和を維持するためである。長崎だけでなく、『人』という小さい子どもから大人、あるいは外国の人といった世界共通の概念で考えていけばよいのかなと思う。

【会長】

長崎は昔から色んな文化が入って来た中で暮らしており、「異文化交流」というよりも「共生」、「共存」という考え方が近いのかもしれない。

【委員】

先程、長崎らしさということを言ってしまったが、他の委員の意見を聞いていると『長崎らしさ』という言葉はなくてもよいのかなという気もしてきた。平和について考えれば、確かに相手のことがわかっていれば戦争は起きないと思う。また、外国の言葉はわからなくても音楽を通して心を通わせることができる。その様に、「自分達の表現もするし、相手の表現も受け入れるという施設」というのは一種の長崎らしさかと思うし、「文化交流施設の拠点」という言葉でも長崎らしさを表現することができ、「長崎らしさ」という言葉をあえて使わなくてもよいかもしれない。

【委員】

 資料に書かれている基本コンセプトは立派なものだと思う。実現できたら素晴らしい施設だと思うが、それぞれの分野に下ろして考えてみると、例えば書道などでは国際交流を既に行っている。これ以上どう努力をしていくのか、もっともっと伸ばしていくということなのか。また、「長崎らしさ」についても常に皆考えていることだと思うし、今やっている公演にも長崎らしさは既に出ていると思う。それをなぜ基本理念にわざわざ上げないといけないのか疑問。それ以上に何を求めていくかについてはそれぞれの分野、それぞれの団体が

考え努力すべきだと思う。構想については現案のもので十分ではないか。これ以上話してもこれ以上のことは出てこないと思う。長崎らしさをどうやって出していくのかについては市民も考えていくべきことであり、この審議会だけではまとまらないのではないかと思う。

【委員】

長崎は被爆地であり、あとは歴史的見れば鎖国時代に開かれた出島がある。また、公会堂の理念である国際文化センター構想もある。個人的には平和というのを前面に出すというよりも、『新たな長崎の出島』といった方向性で何か良い言葉ないのかなと思う。

【委員】

長崎国際文化都市建設法という法律があり、その中で「この法律は、国際文化の向上を図り、恒久平和の理想を達成するため、長崎市を国際文化都市として建設することを目的とする」とされている。その様に、長崎は国際文化都市にしなければならないと法律で決められている。だからこそ市の総合計画の中でも「個性輝く世界都市」というのが掲げられているのだと思う。「国際」についてでもあるが「文化都市」というのがとても重要。新しい文化施設はその文化都市の拠点となる施設にしなければならない。従ってこの「国際文化都市」というのは外すことができないと考えている。

【委員】

 舞台の仕事をしているので文化芸術基本法というのはよく耳にしている。その中に「世界の平和に寄与するものである」という文言がある。舞台人として市民の皆さんと作品を作っていくにあたり、必ず出てくるキーワードが平和である。これまで色んな作品を苦労して作り上げてきたが、作り上げる中で必ず「平和」というのがあった。従って、個人的にはこの『平和』というのは外せないキーワードだと思っている。

【委員】

 「平和」という考え方についてこの場でどこまで考えていいのか難しいところではあるが、県外で生活したことがある人間の参考意見として聞いてほしい。東京の高校で教育実習をしたことがあるが、東京は長崎ほど原爆教育や戦争教育といったものを受けているわけではない。なので「平和」のイメージが必ずしも戦後というわけではない。もちろん、そういった教育を受けてないからといって東京の子どもたちが長崎の子どもたちに比べて劣っているとか不幸であるとかそういったことは決してない。ただ、平和の具体的なイメージが必ずしも戦後でないのであれば一体いつなのか、長崎でいえば、おくんちのように町衆が元気であり、商人が元気であり、そして異文化交流をしていた江戸期というのも1つの平和の象徴であると思う。そういう意味でいうと、町が元気になるホールというのも1つの平和の象徴だと思う。平和というのは単に戦争の対立概念である必要はなく、長崎が考える平和の概念が必ずしも全国平均の平和の概念と同じものではないということは心に留めておく必要があるかと思う。

【委員】

 楽しく、安心して住める町、子どもたちが楽しく育っていく町というのが平和につながっていくと思う。長崎は若い人達がどんどん県外に流出しており、流出率がワースト1位という話も聞いている。若い人たちが楽しく暮らしていけるまちづくりの中に文化施設の拠点があればよいと思う。

【委員】

 この会議で『平和』という言葉が出ることが長崎らしいなと感じている。個人的には平和というのは基本コンセプトのもっと上の概念であり、ここにいる会場の皆が平和について共通認識をしていると思うし、教育の中で長崎の若者にも浸透していると信じたい。なので新しいホールの基本理念については幼い表現であるが『楽しいホール、ワクワク、ドキドキ喜びを見いだせるホール』というのでは駄目なのかなと思う。

【委員】

 公会堂がなくなってその代替え施設というのがそもそもの出発点である。委員の中にはそこを一旦リセットしてと考えている方もいるようだが、私はそこにこだわりたいと思っている。原爆の焼け野原から長崎を何とか復興させたいという思いから我々の先輩が長崎国際都市構想を立てて国も巻き込み、寄付金を集め、色んな建物を建てていった。しかし、その後、それらの建物がどんどん壊されていき、最後に残った公会堂もついに壊されてしまった。県立図書館も大村に行ってしまうので、長崎市には当時の構想に基づく建物が無くなってしまうことになる。建物が無くなってしまえばその精神も無くなってしまうのではないかと危惧している。荒廃した長崎から何とか国際文化都市として復興させようという思いで打ち出された国際文化都市というキーワードが無くなってしまうことは許されないことだと思う。

【委員】

 今のお話はそのとおりであると思う。ハード面で同じ建物を建てるのは好ましくないが、精神面は引き継ぐべきであると思う。ただ、これから作るものなので次の50年を見据えていかなければならず、そこがとても難しいところである。また、劇場や美術館というのは公共であれ民間であれ、作ってオープンした段階から世界の共有財になる。もちろん第一義的には市民のためにあるのかもしれないが、大きくいえば全ての人類が幸せに安心に暮らせるため、芸術というものを軸にこれから先の時代をどう歩んでいくのかというための共有財としての拠点であるべき。その意識が希薄になってしまうと新しくできる文化施設がただの市民会館になってしまう。

 また、長崎に関係ない者からすると、長崎という町は既に一回世界の文化を飲み込んだ都市だと思っている。その飲み込んだものをこれから先の時代に向けてどのように演出して吐き出していくのか、世界に発信していくのかということを意識として持っていたほうがよいと思う。そのあたりを上手く理念に落とし込んで欲しい。理念に関しては短くてもいいから長崎市が新たに文化施設をつくる重要なポイントを明確に書くべきである。

【委員】

 長崎から世界に発信していく施設にするというのは共通認識だと思う。その際に考えなければならないのは、どのまちでも使えるありふれた言葉を用いた基本理念で、果たして長崎から世界に発信できるのかという点である。「平和」、「長崎らしさ」というのは概念がバラバラであり、そういった言葉をあえて入れることが長崎から発信するにあたって必要なのかということを考えるべき。長崎の人であれば「平和」といえばどの様なことかわかるかもしれないが、もしかすると長崎でいう「平和」が全国・全世界で通用する共通語ではないかもしれない。また、出島についても世界の文化を飲み込んだ都市と考える人もいれば、閉じた都市と考える人もいるかもしれない。発信する以上は発信する相手のことも考えなければならない。そのことを考えたうえで、理念の中に「平和」や「長崎らしさ」等のワードを入れるのか考える必要があると思う。

【委員】

自分は公会堂に関わった世代ではないが公会堂50周年のときに建設に関わった人に取材し演劇を作ったことがある。公会堂がどのように芸術文化をつくりあげてきたかということを取材したところ、専門知識があまりない状態でお互いに意見を出し合い、心をつなげていったということであった。そのことは今自分達が作品を創るにあたりやっていることと同じであると思う。そういったことを考えたときに公会堂から受け継ぎたいと思ったのは、「こころを通わせ文化芸術をつくりあげる」いう点である。

【委員】

出島は確かに文化が来たところではあるが、長崎から何かを発信したことはないはず。長崎市を地図で見ると鶴の頭の部分に見える。鶴が飛び立つように、今度は長崎が世界に発信していくべきではないかと思う。戦後の復興の気持ちというのもあるが、戦後から長い時間の時が流れ、飛び立つんだという考え方もあるのかなと思う。

【委員】

復興云々のノスタルジーで言っているわけではなく、先輩方が50年後、100年後を見据えて立てた構想であるので、「国際文化都市として文化の拠点」というのを1つの理念として提案したいと思う。

【会長】

最後の意見で出たこれから50年先を見据えたものを考えていこうということや、一度文化を飲み込んだ出島が今後どのように形にして世界に発信していくのか、また、発信するだけでなく、そこに関わる人や受け取り側の共感を得ることが求められるのではないかと思う。事務局には今回の審議会で出た意見をまとめて、今度は少し早めに委員の皆さんに見てもらえるようにしてほしい。

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電話番号:095-829-1124

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