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令和2年度第2回 長崎市文化振興審議会

更新日:2021年6月3日 ページID:036660

長崎市の附属機関について(会議録のページ)

担当所属名

市民生活部 文化振興課

会議名

令和2年度第2回 長崎市文化振興審議会

日時

令和2年11月18日(水曜日)18時00分~20時00分

場所

長崎ブリックホール3階 国際会議場

議題

1 新たな文化施設基本計画策定の進め方
2 他都市文化施設の事例等

審議結果

議 事:

事務局より、新たな文化施設基本計画策定の進め方、他都市文化施設の事例等について説明。その後、意見交換を行った。(意見については以下参照)

〇議題1 新たな文化施設基本計画策定の進め方【意見交換】

〇議題2 他都市文化施設の事例等 【意見交換】

事務局(市):事務局(長崎市市民生活部文化振興課)

事務局(業):事務局(長崎市新たな文化施設基本計画策定業務受託者)

【事務局(市)】

配布資料に基づき、新たな文化施設基本計画策定の進め方の説明。

【事務局(業)】

配布資料に基づき、他都市文化施設の事例等の説明。

【会長】

何か質問はあるか。どのような観点でも良い。

【委員】

今回初めて市役所跡地での具体的な提示をいただいたと思う。ブリックホールでは階段が使いにくいとよく言われる。高齢化社会になるとバリアフリーを徹底しないとお客さんは遠のいてしまう。そのような観点で何か意見はあるか。

【事務局(業)】

現在、障害者の方々が文化施設で楽しめるようバリアフリー法が制定されている。スロープの勾配を10分の1から12分の1にする、また、トイレの作り方なども様々な規定ができている。同時に、各メーカーが様々な障害に対応した新しい機器を開発している。豊島区の新しいホールは、エスカレーターが最上階の席までサービスできるようにしている。その様なことを徹底することが求められる。

【委員】

具体的な話が聞けて現実的に考えられるようになった。非常に実りある会議だと思う。劇場の流れに関して、極限の専用劇場、超多目的ホールという項目があったが、都市部の場合そのような専用劇場をいくつも建てることが可能だが、地方は多目的に使えるホールが必要。色々な市民が使えるような劇場にすべきではないかという意見が基本構想の中でも出ていた。その辺りをどのようにお考えか。

【事務局(業)】

多目的ホールという概念は演目を基準に考えている。音楽、演劇、舞踊という上演する演目において多目的かどうかということ。しかし、切り口はそれだけではなく、市民が使いやすい、プロが新しい演出などをするためにやりやすい、など違う切り口があると考える。本計画で言えば、市民の皆様が一番使いやすい、となると演目を特定すべきではない。むしろ色々なジャンルに対してより専用ホールに近い形で空間を提供できるようにすることが一番の解決策だと思っている。しかし、ハードだけで100点にはおそらく出来ない。また、高度な施設を作る場合、利用者はスタッフ数も多く必要になり、貸館料だけではなく人件費もかさむ。かえって市民の皆さんに使いづらいホールになってしまう。「市民の皆さんにとって使いやすい」ということが、実際にはどういうことなのか、ハードだけではなく、運営のスタイルや条例の作り方も含めて検討させていただきたい。

【委員】

今、駅前にMICE施設が建設されており、茂里町にもジャパネットがホール付随施設を検討されている。それらとの棲み分けはどうなるのか。実際、MICEの使用料が非常に高く、本計画では市民が使いやすいホールということを考えていただきたい。また、駐車場について何か考えているか。

【事務局(業)】

ルール作りは、できるだけ使いやすいものをご提案させていただきたい。駐車場は、敷地の面積が限られているため、広域的に考えたらいいのではないか。桜町駐車場の向こう側にある公園も含めて考えられないか。最近、渋谷の街に宮下パークができた。これは都市公園法上の公園に位置づけられていると思うが、4階建てで3階までは商業施設や地下駐車場となっている。本計画においても、1階に駐車場を確保し、その上を公園化してしまうのはどうか。プロポーザルの際も、公園を地続きで敷地と繋げてしまうという提案をさせていただいた。また、少なくとも敷地の中には楽器を運ぶ方々のための駐車場、障害者用の駐車場は必ず確保しなければならないと思っている。

【事務局(市)】

MICEに関しては市から回答する。MICEは平土間式で学会や展示会が中心となるため、本計画と棲み分けができる。また、ジャパネットも2万人規模のサッカースタジアムとバスケットボールができるアリーナを検討中だが、体育館的なものであるため棲み分けが可能。駐車場に関して、運搬車用、障害者用は確保したいが、地下を掘ることは難しいと考えている。既存の駐車場や市民会館駐車場、新市庁舎の駐車場など、全体の中で対応したい。

【会長】

MICEの料金が高いという声はある。長崎大学医学部の先生方が学会を開くには厳しいと言っていた。

【委員】

花道について。ブリックホール、市民会館、カナリーホールも全て後ろが壁になっている。唯一、公会堂は客席を通るような花道でとても気持ちよく踊らせていただいていた。そのような花道ができると嬉しい。また、歌舞伎が呼べるような劇場にはなるのか。大道具の搬入口など敷地を見た限り狭いように思える。

【事務局(業)】

壁側にある花道を脇花道と言い、多目的につくる際は非常に便利である。また、本格的な歌舞伎小屋の場合は本花道とするが、そうすると花道を舞台から水平にするため、客席床の勾配をなだらかにする必要が出てくる。一方、一階席の最後方が舞台と同じ高さとなると、勾配が足らず、舞台が見づらくなってしまう。神奈川県は、1階の客席を1列ごとに高さを変えられる電動のホール(KAAT)をつくったが、建設費がかかる。久留米のホール(久留米シティプラザ)も同様の可変機構を持っているが、セットに時間とお金がかかるため、あまり活用されていないと思われる。以前、日田市(パトリア日田)で玉三郎氏の踊りの会を観てきたが、そこは花道をL字型に取るという変則的なやり方をされていた。コクーン歌舞伎など、歌舞小屋ではない所で歌舞伎を上演する際は、演出上、意図的に客席をかき分けて登場するなどの工夫をしている。伝統的、本格的な本花道を作るというのはなかなか難しいと思う。また、本格的な歌舞伎の地方公演は文化庁(公立文化施設協会)のツアーしか実施されておらず、単独開催の場合は高額になり、成立しないと思う。昔の歌舞伎小屋のスケールを考えれば、小さな空間ほど似合うはずだが、興行採算を考えるとブリックホールにお任せする方が安全ではないか。

【会長】

私も歌舞伎ができると良いと思うが、それを考えると茅野市民館は面白い。幸四郎氏があそこはいいものができると言っていた。茅野市民館は洋と和を上手く機能させていて、また、アーティストが茅野に来てくれている。長崎にも縁のある人が来ると良い。小屋の問題というより、そこで人の繋がり、人間関係ができると良い。

【委員】

搬入搬出について、1,200席程度のホールの場合大型トラックが想定される。何かアイデアはあるか。

【事務局(業)】

現状の敷地内で11tのトラックが転回できるだけのスペースは取れない。建物の勾配の下、奈落レベルでトラックを転回させ、エレベーターを使って荷物を舞台面まで上げざるを得ないと考える。渋谷のシアターオーブや札幌のhitaruは3m×8mという大型のエレベーターを使っている。そのような大きなものを使用することになると思う。

【委員】

諏訪神社や湊公園のランタン祭りなど、長崎の人は、狭い空間を劇場空間にするのが得意だと思っている。また、災害時の避難場所について何か考えられているか。普段から「ここはいざという時の避難場所」と意識すると、身近に感じると思う。

【事務局(市)】

災害時の避難場所について。市役所は指示系統の本拠地であり、市民対応がしづらい場所である。そのため、市民は新文化施設に一時避難場所として来られると思う。今、設備機能を72時間維持することが基本になっている。日常的にみんなが利用していると、記憶に残りやすいので、誰でもいつでも自由に集まって楽しめる場所を用意しておくことが、緊急時や災害時にも非常に有効だと考える。

【委員】

建設場所が県庁跡地から市役所跡地になった際、イメージが沸かず、狭い敷地で駐車場をどうするのだろうと心配ばかりだった。面白く建物を作ってくださるような気がして楽しみになってきた。

【委員】

長崎に文化の薫りが戻ってきたと感じた。市役所通りは、ビジネス街やマンションなど、殺風景になってしまった。唯一、図書館がある。先ほど、光が道路側に漏れると聞いた時に、風景が描けたような気がする。ホールのことが一番気になるが、歴史的な継続という意味では、文化の薫りを持ってくるというのが、何よりも楽しみだと感じた。

【委員】

現在の技術を活用し、ホールの多機能を高度な次元で対応できるようで、大きな期待をよせている。ブリックホールの約半分に近い席数を目指して作られるということなので、そこの棲み分けも当然されると思う。懸案は駐車場。桜町駐車場の台数はホールの規模から考えると極めて少ない。MICEの完成と共に長崎放送の社屋が駅前に移転をすることになっているが、長崎放送の跡地について情報はあるか。

【委員】

現時点ではまだ残す方向である。最終的には取壊しにはなると思うが、時期については不明である。

【委員】

極めて近接しているので、そこを立体駐車場にするという提案もできるのでは。また、搬入口へのアプローチについて。桜町通り側にトラック搬入口を設置することになると思うが、桜町通りに沿って下っていく一方通行道路は、下ったところでようやく2車線になる。そこまでは一方通行の交通量の多い通りである。そこでもしトラックが滞留すると、大渋滞が発生してしまうのではないか。トラックがスムーズに入っていけるアプローチを考えていただく必要がある。

棲み分けについて市にお尋ねするが、MICEができることによって、この国際会議場の目的は果たしたのかなと思う。今後の国際会議場の方向性は決まっているのか。

【事務局(市)】

MICEができれば、国際会議場機能はMICE(出島メッセ長崎)の方に移行することになる。現国際会議場を音楽専用のホールに変更するという案はある。財源が必要であるため時期については不透明だが、そのような構想は掲げている。

【委員】

ここが音楽専用ホールになる可能性があるのであれば、それも踏まえた上での棲み分け、新たな施設の構造も変わってくる可能性があると思う。

【委員】

エレベーター搬入について。可能であれば舞台にかからないところにエレベーターをつけていただきたい。搬入時に吊り込み作業に入れるような形。舞台のすぐ脇にかかっていると作業が遅れてしまう。また、最近コロナの件に関して、建築法的に客席の密度の問題について出ているのか。

【事務局(業)】

我々は、渋谷のシアターオーブの下階に位置するヒカリエホールを運営している。劇場と展示ホールが上下に重なっていて、エレベーターは1基しかない。これは事前のスケジュール調整から打合せを綿密に行う必要があり、搬入当日は携帯電話や無線で連絡を取り合いながら回している。エレベーターに対するプラットフォームについては、荷を下ろして仮に置いておくスペースが非常に重要だと思う。エレベーターが近接しているということは、音が縦に(エレベーターシャフト内を)抜けてしまう。遮音をしっかりとらなければならないため、舞台から少し離しておくということが設計上求められる。

コロナ後の対応について、法規の変更はまだない。換気量については興行場法で規定があり、劇場の換気量はもともと非常に多い。今の換気の方法は、新鮮な空気に置き換えるのではなく、空気を1回綺麗にして戻している。その中で新型コロナウイルスを除菌できているかは不明確である。全て新鮮な空気にしてしまうと冷暖房が効かなくなるため、空調能力を上げなければならない。今、各ホールが試算をしながら空調設備機能について検討している。また、法規上の規定はないが、我々が携わる現行の計画の中には、椅子と椅子との間の肘掛について検討しているものがある。ひじ掛けがひとつしかないと触れてしまうため、これを2つにし、それぞれ専用の肘掛けを設けたらどうか検討を始めている。

【委員】

桜町や中町は、夕方と朝の教会の鐘の音、お寺の鐘の音、港から聞こえてくる汽笛の音など、非常に長崎らしい音が交差している場所である。そういう音のイメージも何かの形で活かしていただきたい。

【事務局(業)】

客席の中は遮音するが、ホワイエなどには聞こえた方が良い。今は電気音響を駆使して、聞きたい音、聞きたくない音を編集できる。サウンドスケープという分野があり、専門家に、その街らしい音を拾い、施設内の音環境を作ってもらっている事例がある(例:茅野市民館)。皆さんの記憶のなかの長崎の音を上手く演出することが可能だと思う。

【会長】

劇場は人々の記憶にいかに迫れるかということが大事である。

【委員】

先ほどから話題に上がっている搬入口について、私の周りでは、フラットの位置から搬入したいという意見が多くある。大掛かりなセットを持ち込んだ際に、エレベーターでは時間がかかる。専門性の高いオペラやバレエ、ミュージカルが普通にできる劇場を作ってほしいという要望があるが、その際、エレベーターでは時間と人員数がかかり、不利ではないか。ブリックホールの搬入口も不便という意見がたくさんある。搬入口はぜひフラットで検討いただけないか。また、敷地内に練習室やリハーサル室などの諸室が取れるのか危惧している。

【事務局(業)】

敷地の性格上、搬入口と舞台を同一レベルにするのは難しい。熊本城ホールでも同様のご意見をいただいたが、下にバスセンターがあり、不可能だった。その代わり、ホールを上階にしたことによってホワイエからの熊本城の眺望が良い。今回の施設は、大がかりなセットを持ち込む可能性もあると思うが、おそらく頻度は少ない。また近年、セットはリアルな大道具ではなく映像を用いる場合も増えている。今後は国内ツアーを組む際に、仕込む物量が少なくて済むような作品のつくり方が増えていくと考える。

練習室、リハーサル室の件は、敷地内にホールを縦型に置き、空いている敷地の1階を誰でも自由に来られる空間、何かそこで楽しめる空間にしたい。また、その上下階をガラス張りとし、入った時にバンド練習している姿が見える、踊っている人の姿が見える、といった空間が望ましい。今の敷地でその確保は可能であると考える。

【会長】

この審議会でも過去に練習場は話題になっている。長崎は次々とそういう場がなくなっているため、ぜひ重点的に見ていただきたい。

【委員】

文化財の基本法が変更され、文化財の保護やGOTOキャンペーン含め色々な意味での経済の活性化という観点が必要。教育委員会所管の施設が近くにあり、長崎港は来年450周年を迎える。それらとの連携、棲み分けもでてくる。また、財源の補てんも必要となると思う。

現在、音響・映像についても高機能な製品が多くある。ヨーロッパの歴史あるホールの音を完全に再現することは難しいが、生の音響を重視しつつ、ある程度デジタル技術で補正できる。また5Gが普及してくればライブビューイングなど新しい生活様式の中で活用できる。様々なデジタル製品があるが、導入にはコストがかかる。財源も含めてご提案をいただければなと期待している。

【事務局(市)】

費用と財源の問題が一番大事だと思う。市の財政が非常に厳しい中で、人口減も含めて税収が落ち込むことも予想されるため、有利な財源を活用しなければならない。公共事業として補助が一部あるため、できる限り国の財源あるいは有利な地方債を活用したい。先進事例も含めて、十分研究した上で国にも要望していきたいと思っている。

【委員】

委託業者が事務局に入れられたということは、計画的に進むのだろうと思う。完成予定はいつ頃なのか。

【事務局(市)】

新市庁舎は令和4年度の冬頃に完成予定。その後、今の庁舎を引っ越した後に解体するため、新文化施設は令和8年度中の完成を目指している。

【委員】

以前、県庁跡地に文化財が出てきた。市役所跡地に文化財が出てくる可能性はあるのか。

【事務局(市)】

文化財が出てこないということはゼロではない。解体した後にしっかり調査をしていきたいと考えている。

【委員】

素直な感想として、踊町ににぎわいが戻って嬉しい。他の施設との棲み分けについて、ブリックホールは設置目的として国際交流が謳われていた。新しい文化施設はローカルに寄っていくというのも一つのあり方ではないか。市民参加型、地域に根付いたものであってほしい。長崎港があり、出島があり、そこから長崎奉行所、県庁跡地、図書館、新たな文化施設、そして一番奥に諏訪の森がある。これは長崎の中での歴史的な流れである。物語性、歴史性を明確にしていくことで、ここに劇場があることが必然性を帯びたものになっていく。そういったストーリーづくりを大事にしていただきたい。具体的には精霊流し、おくんち、山車やお諏訪の神様の行列などをどのように劇場の中に関連付けていくか。景観についても話があったが、劇場を前に写真を撮った時、バックショットで後ろにお諏訪の森がそびえているという景観の綺麗さ、神々しさを大事にしてもらいたい。公会堂のこけら落としは先代の勘三郎氏の『身代座禅』だった。公会堂のレガシーを受け継ぐような必然性があることで愛されるホールになるのではないか。

【委員】

今の話は非常に共感する。歴史的な流れの中にあることは大事。面的な広がりが見えるという話だったかと思う。諏訪神社から歴史文化博物館、そして、今の通りを通って出島、長崎県美術館まで行くという流れを検討していただきたい。そのような歴史的なことを踏まえるからこそ、次の展開として、今日のお話にあった「第四世代」につながる。どのように人に来てもらいたいかが重要。歌舞伎ができるということは大事だが、開催頻度、来会頻度を、棲み分けの中で考えていかなければならない。なんとなく足を運んでしまう場がよい。何となく散歩をしていて、足を止めたらリハーサルしている人の姿が見えるというのはいいと思う。

武蔵野プレイス(東京都武蔵野市)という図書館には若い人が集まっている。あのようなものができると良い。ジャンルに関わらず高校生が学校帰りに思わず寄ってしまう、あるいは不登校の人たちも何かしてしまう、そのような若い人の居場所になるようなものを、建物のデザインと同時にソフトの面から作ることができると思う。また、このホールは指定管理で運営するということは決まっているのか。

【事務局(市)】

市の方向性としては、基本的には指定管理者制度を活用している。今後どのような条例になるのか現時点では決定していないが、そのような方向性になると考える。

【会長】

お客さんを作るのではなく、お客さんと共に創っていくという話があった。この会議も皆さんと一緒に作り上げていくものになれば良い。本日は以上でよろしいか。事務局にお返しする。

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