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令和5年度第3回 長崎原爆資料館運営審議会

更新日:2024年6月10日 ページID:042219

長崎市の附属機関(会議録のページ)

担当所属名

原爆被爆対策部 平和推進課

会議名

令和5年度第3回 長崎原爆資料館運営協議会

日時

令和6年3月22日(金曜日) 15時30分~

場所

原爆資料館地下1階平和学習室

議題

(1)開会

(2)議事

ア 報告事項 パブリック・コメント結果の概要等
イ 協議事項 長崎原爆資料館展示更新基本計画について

(3)閉会

審議結果

1報告事項
(1)展示更新事業スケジュールの見直しについて
(2)展示更新基本計画素案に対するパブリック・コメント実施結果の概要について

  • 事務局より説明
  • 質疑内容

【委員】
展示スケジュールの見直しについて、いろいろな方々のご意見を聞くということ、また市議会からも慎重に進めてほしいという意見があり、1年間スケジュールを伸ばしたということは、私は理解できます。
ただ、前回第2回審議会以降に恐らくこの方針が変わったと思っているのですが、それはどこでどのような形で変わったのか、その後、我々議会には報告があったと記憶していますが、審議会の委員にどういった形で連絡若しくは報告されたのかをお伺いしたい。

【事務局】
事業スケジュールについては、第2回審議会以降に、パブリック・コメントの状況等も踏まえて、市の内部で協議を進め、決定しています。この内容は、2月市議会の施政方針の際にも発表していますが、その前に、本審議会の委員の皆様にはまずご連絡をすべきとして、個別に電話連絡等で説明したところです。

【委員】
2月の施政方針でということは、その前に1年間の延期が決まったと理解していいのですよね。延期に伴って審議会、小委員会もスケジュールの中に入ってくると思うのですが、どういった形で進めていくのか、いま目星があるのかどうか、お伺いしたい。

【事務局】
来年度以降の検討における小委員会等の関わりといいますか進め方については、報告事項(3)の中で少し説明したいと思っていましたが、今後これまでと同じように、基本設計作成の段階でも案を示しながらご意見をいただきつつ、更に検討を進めていきたいと考えています。詳細については後ほど説明します。

【委員】
わかりました。確認ですが、1年間延期で、施工が1年延びて2026年度(令和8年度)までには工事が終わると考えてよいのでしょうか。

【事務局】
表に示している通り、まずは来年度に基本設計をしっかり進めていきたいと思います。その状況を踏まえて、実施設計・制作施工のスケジュールについても、必要があれば調整をしていくと考えていますが、基本設計がスケジュール通りに進めば、最短で令和8年度末に完了する見込みと考えています。

【委員】
最短で令和8年度末ですね、それが少し延期する可能性もあるということでしょうか。

【事務局】
来年度の基本設計の進捗状況により、以降のスケジュールも必要があれば見直ししたいと考えています。

【委員】
当初は、令和6年度に基本設計と実施設計を同時に予定していたものを、単純に半年間延ばして1年間で基本設計を実施する、と私は理解しています。
先ほどから議論になっているとおり、基本設計を1年間かけてしっかりやっていこうという話の中で、よく「1年」と話が出ていますが、基本的には半年間ずれた、と理解しています。ただ、先程も本審議会との関わりという話の中で、提案しながら進めていくということでしたし、大事に審議をしながら進める必要があるものの、あまりにも延びていくと、固まらないのでは、と私は思います。基本設計、実施設計はある程度近い要素もあるため、そこは十分に考えて進めないといけないと思います。
その意味で、この審議会にかけるときも、実施設計もある程度できるようなしっかりした形を載せていかないと、審議会での理解が進まないし、議論自体もしにくいのではないかと逆に思いますが、いかがでしょうか。

【事務局】
実施設計は、工事を実施するための詳細な技術的設計となりますが、今ご意見いただきましたとおり、実施設計も見据えた形で基本設計をきちんと考えていく必要があろうかと思います。また、基本設計と実施設計の中で、その作業が一部重複するようなこともありうるかとは思いますので、その辺は基本設計がいたずらにスケジュールが延びることはないように、区分けしながら進めていきたいと思います。

【委員】
今そう言われましたが、実施設計の中にイメージやパース作成等があります。そのようなものがないと、判断できず進めないのではないかと思います。基本設計の中に入れ込んでいかないと、どのような形で進んでいくのか審議する資料が恐らく無いと思います。ですからその点を注意していただきたい。

【事務局】
基本設計の説明箇所には意匠図等と書いていますが、意匠図には、具体的にイメージできるようなイラスト、図も含まれますので、それを見ていただきながらご意見いただけると考えています。

【委員】
そのようなことであれば、基本設計の内容はどの程度のものなのか、未だ私は分からないため、もう少し詳細が分かるようにしてもらわないと、と思います。前回のものと異なる点、追加している点をしっかり出してもらわないと分かりにくいと思うので、分かりやすくしてほしい。

【委員】
ワークショップと、パブリック・コメントの長崎市の考え方の中で、原爆投下に至る歴史に関する展示についての意見に対する統一的な考えとして、設計段階において参考にしてさらに議論を深めていくということですが、市の基本的なスタンスというのは、これまで市議会の答弁や平和宣言などに盛り込まれていると思います。特に、以前の伊藤市長、田上市長が、「被爆地長崎から原爆被爆の実相を訴える前提として、加害も含めた戦争の歴史の認識は当然必要である」ということを議会でも言われていたり、2005年9月議会の歴史認識についての質問に対する答えとして「『長崎を最後の被爆地にしなければならない』という長崎市民の訴えを多くの人々に理解、理解してもらうためにも日本国の加害を含めた戦争の歴史の認識は必要なものであると考えている」と発言されたり、といった長崎市のスタンスは、今も変わりないということを確認したいと思うのですが、いかがでしょうか。

【事務局】
2005年の議会での発言は、展示に関してではなく、歴史認識についての発言であったと認識しています。開館当時に様々な論争があり、伊藤市長の発言も当然認識しています。今回の展示更新の検討に当たっては、当然そういった経緯もありつつ、令和元年度頃からは本審議会でのご意見をいただきながら、目指す姿や基本的な考え方をお示しして、時代に合わせて必要な見直しがあれば実施していく、というスタンスで考えていますので、今の考え方はこの素案の中に示しているものと考えています。

【委員】
原爆資料館の設置の目的、被爆の実相を発信していくとともに、世界にも長崎を最後の被爆地にとして訴えていくときに、その前提となるのはやはり、なぜ長崎に原爆が落とされたのかと、そういった歴史認識、というのが長崎市のスタンスだったと思うのですが、それが今も生きているのかどうか。
今後、ワークショップをしていくとか、様々な意見を聞く際に、市としての基本的な立場、スタンスが無ければ、まとまるものもなかなかまとまらないのではないか、というのを危惧しています。伊藤市長の当時の長崎市の考え方というのは、田上市長のときも今の鈴木市長も、特に変わっていないですよね、ということを確認したいのですが。

【事務局】
今回の最終案でも、展示更新の基本的な考え方として、基本方針を書いています。18ぺージに、展示更新の基本的な考え方として、館の基本理念や設置の目的は変えずに、時代の変化に応じて提示内容を更新する、としていますのが我々の基本的な展示更新の考え方です。

【委員】
要はパブリック・コメントの回答のところで、原爆投下に至る歴史に関する展示の意見が様々ある中で、長崎市の統一的な考えとして、設計段階において参考にしますよという回答をしている点と、これまでの伊藤市長のときの、被爆の実相を発信する前提として歴史認識がありますよね、ということを確認したいだけなのですが。

【事務局】
今委員が言われたように、今回パブリック・コメントでも原爆投下に至る歴史については、様々な対立する意見がありました。それを踏まえて、我々としては今後も引き続き、公開の場で慎重に丁寧な議論を積み重ねていく必要があると考えています。
今回いただいた意見については、設計段階で具体的に検討していく内容だと考えていますので、パブリック・コメントの回答としてはこのように書いています。ただし、原爆資料館の設置目的は、条例に明記していますので、それに則り検討を進めていきたいと考えています。

【委員】
今のパブリック・コメントの議論の中で、委員が、市の基本的なスタンスを聞かれたと思います。変わりが無ければいいのですが、このパブリック・コメントの意見も、全て吸い上げていけばまとまりがつかないと思います。ですから、そういった点では基本をしっかりと市の方は持つべきではないかと思います。
また、私は被爆者として、なぜ長崎に原爆が投下されたのかと思います。それは、突然雨が降ってきた、といったことではないわけですね。日本が侵略戦争した結果が、原爆の投下ということです。ですから、そういった点では、小学校から高校までの歴史を学ぶ中で、なかなか近現代史を、時間が無いということで教えてもらえないと聞きます。アメリカと戦争していたということも知らない日本の子どもたちがいるわけですね。ですから、そういった日本が東南アジア、中国に侵略戦争を仕掛けていったという点を、やはり明記すべきだと思います。
そのことによって、日本の軍隊、また一般市民が、300万人、それから、アジアの人々2000万人近くが殺されていきました。この事実ははっきりしているのですから、日本が起こした戦争の結果、原爆が投下されたのだということは、やはり事実として書かなければいけないと思います。
パブリック・コメントの中に、様々な意見がありました。例えば自虐的だとか、日本は大東亜共栄圏を目指して東南アジアに進出したのだとか、そのような時代錯誤的な考え方もやはりあるわけですね。しかしこういったことを取り入れていったら、まとまりはつかないし、また、資料館の理念として、世界の人々に訴え、そして世界の人々と一緒になって核兵器廃絶していく、という資料館の目的、ここから大きく外れては絶対にいけないと思いますので、そういった点では、展示すべきというのであれば、もう少しスペースを広げていかなければならないのではないかと思います。

【委員】
基本計画最終案の13ページ(2)原爆投下に至る歴史に関する展示(展示更新の方向性)2(4)「戦争には被害と加害の両方の側面があるため、一面からではなく、多角的な視点から考えることができるよう、客観的事実に基づいた展示とする」としており、こちらの2行については、多くのパブリック・コメントの中でも比較的好意的な前向きなご意見が多く寄せられています。
委員のご指摘と併せて考えますと、コメントの中に「日本の加害についての説明文を削除する動きがあるとうかがい驚きまた大きなショックを受けています」などの意見がありますが、少なくとも、展示更新の方向性でいいますと、「被害と加害の両方の側面がある」ということで、ここで明確に加害の側面があるということは含まれていると思います。
もちろん、長崎で原爆投下によって大変な被害が生まれたわけですから、その被害というものは当然直視すると同時に、日本が行った加害者という側面も含めると、この両側面が必要だということで後続の文章に入っていて、更には「客観的な事実に基づいた展示とする」としていることで、主張に基づいて事実をねじ曲げるような展示がおそらくこれによってならないだろうと思います。
私は、こちらの(4)の文章は適切なものであると考え、また同時に、パブリック・コメントにあります「日本の加害についての説明文を削除する動きがある」とは、必ずしも(4)の文章を見ている限りでは、適切ではないのかな、という気がしています。
つまりは、あくまでもこの「被害と加害の両側面がある」という展示更新の方向性がここに書かれている限りにおいては、そのような文章を削除するということには恐らくならないのではないかということと、もう一つは、「客観的な事実」として、1996年に資料館ができてから約30年間の間に、アメリカがなぜ原爆を投下したのかということについては、膨大な研究が出ています。
つまりは、30年前にはまだ必ずしも明確には分からなかったようなところも歴史学の研究によってかなりの程度明らかになっていますので、そういった点では今回の展示更新で、新しい研究成果を十分に生かしながら、果たしてなぜアメリカが原爆を投下したのか、ということについて、十分にこちらの展示で恐らく加えることができるだろうということと同時に、日本が行った加害の側面というものも、きちんと直視するとこのような側面があるということで、展示の方向性について、私はバランスが取れた方向性を示していただいたのではないかと考えています。

【委員】
先の戦争の見方については意見があり、日本がアジアに大変な加害を加えた云々という話がこのパブリック・コメントの中にもたくさん出ているのですが、なぜ日本が戦争したのか、あれだけ激しい戦争をした理由は何なのか、動機や目的があったはずです。ところが、動機や目的が殆ど考慮されていない、そのように私は感じました。
コメントそのものがどうこうではなく、戦後の学校教育の影響、GHQの占領政策の影響などがあって、実際の日本の戦争の本当の意味・目的が考えられなくなってきている、と私は思っています。
結論から先に言えば、日本が戦ったのは、自存自衛の戦争ですよ。その前のアジアがどうだったか。欧米の白人国家が殆どで、日本以外は植民地化されていましたよ。私は昭和18年に小学校に入り、当時国民学校だったのですが、上級生の部屋に行きますと世界地図がありました。そこでは、日本以外は全部欧米の植民地でした。それが、戦後今地図を改めて見ると、全部独立していますよね。
その関係を調べてみたところ、戦争目的は最初からアジアを解放する、独立させる、これが目的で戦争に入った面があるということも間違いない事実なので、私は正当性があると思います。今現在、アジアは現実に独立しています。何百年も続いた侵略、植民地化されていたアジアが独立した理由はどこにあるのでしょうか。私は、日本の大東亜戦争にあると思うのです。確かに戦争ですから、加害の面はあると思います。あると思いますが、そういった日本が起こした戦争の中、アジアが現実的に独立してきた事実は高く評価されますし、今後の日本の将来を考えたときに、経済圏がやはり膨らむということです。
一つだけ例えておきますと、満州事変の頃の、例えばですよ、イギリスは自国領の100倍、オランダが60倍の植民地を持っていた。アジアの99%は欧米の白人が支配していました。残りの1%の中で日本は生きて行かなければならなかった。そういう状況の中で、アメリカから経済封鎖を受けていますよ。日本はもう自滅するしかないのです。そういう絶体絶命の中にあって初めて、あの真珠湾攻撃を決意していると私はそう思っているし、様々な資料があるし、そういうことを考えられている方は結構多いと思うのです。やはり、プラス面とマイナスの面があるので、その辺のバランスを考えて実施していただければいいと思うし、基本計画最終案は、非常に中立公正な見方をされていると思いますので、この線に沿って、細かな詰めのところを進めていただければなと感じました。

【委員】
歴史認識についてのご発言などで私も発言したいと思います。あまり細かくする必要もないと思いますが、今委員が言われたように、基本計画はきちんと押さえられているということでいいと思います。
日中戦争、満州事変以降の戦争についての研究というのはすごく蓄積があって、今、委員が言われたことでも、戦争目的というのが、日本は揺らいでいるんですよ。
盧溝橋事件が起きたときの戦争目的は、暴支膺懲ですよ。要するに、中国が暴れるのでそれを懲らしめないといけないということです。今、委員も言われたとおり、1941年12月8日の宣戦詔書は自存自衛なので、それが12月10日の閣議決定で、その戦争の名前は大東亜戦争とするというので、言われたとおり大東亜を開放するという名目を持ってきて、国民とアジアの人たちを納得させようとしました。ですから、戦争目的はどんどん変わっていっています。
その中で中国にもっと権益を持つような会議もされて、そしてインドネシア、当時の蘭領東インドと英領マレーシアは帝国の領土とする、という、国土を増やすという御前会議の決定もあるわけです。
そういったことを考えていくと、アジアを独立させるための解放戦争だというのは、まさに12月8日からの日本政府が世界に投げかけた一つのイデオロギーであって、それで歴史を解釈するというのは、歴史学者はしません。戦争についての認識というのは、歴史学会ではそんなに乱れていないと思いますが。

【委員】
今回スケジュールの見直しを行われたわけですが、経緯については、私はいささか、不信感を持って見ています。それは、まだこの審議会が継続中で、小委員会で進行中の中で、一定の例えば「歴史の見直しをしようとしている」とか、パブリック・コメント自体は非常に重要ですが、そのような判断がいささか偏っている中でどうやってそれに対応しようかということで、スケジュールの見直しに繋がっているように思うのですが。
審議会の独立性という意味で、この点は少し将来に禍根を残すのではないかなと思いますので指摘しておきたいと思います。途中で審議会の一定の方向性を批判するグループのパブリック・コメントに市が反応しすぎていると思うのですよね。それは中立的な立場でいろいろなものを考えながら審議をしている立場の我々にとっては、少々納得できない市の対応だと思います。スケジュールは決定されていますので、これで一定よろしいかと思いますが、こういったプロセスは、審議会としてはやはり中立性を維持しながら、ただし、多数の意見を聞いていくという意味では良くない。
パブリック・コメントの中で、相当な熱意を持ってやっておられる方とか、私もいろんな意見を聞きましたが、この審議会が変更しているとか、歴史認識を変えようとしているとか、そういうことまで言われる方もおられましたね。
それは、長崎市の今後の原爆展示のやり方を更に進歩させていくという意味では、あまり良くないと思いました。私の意見です。

【会長】
今の話の、基本設計が半年から1年延びたところのプロセスが明確でない、というご指摘ですかね。

【委員】
スケジュールが延びていく過程で、パブリック・コメント等を聞く次の段階として、ワークショップを開くということも決定していますからね。
僕は、それは、実際は無かったのではないかなと思うのですよね、歴史認識を変更するような意見を言われた委員はいなかったと思うのですが、パブリック・コメントの中には、そのようにとられているところが恐らくあったのではないでしょうか。
特に、小委員会の方の議論は、かなり中立的に議論されていたのではないかと思います。歴史学者の方々の意見も、バランスを大事にするということを言われていました。にもかかわらず、歴史認識が再検討されたとか、そのように思い込まれた方々の意見がかなり強烈にパブリック・コメントで出ていたように思いますね。それは将来、より良い原爆資料館の展示を実現していこうという観点からすると、やはり良くないと思いました。

【事務局】
このスケジュールの見直しというのは、ご説明した通り、今後も慎重かつ丁寧にやっていきたいということがまず第一なのですが、あくまでも個別のパブリック・コメントの内容や、審議会の批判を受けたので、ということではありません。
この審議会はあくまでも原爆資料館の運営において大変重要なものとして位置付けておりますが、一方でもっと若い方や、パブリック・コメントでもいただけなかったような子ども世代などの方々に、利用者目線でもう少し幅広く市民の声を聞くことができないかということで検討したところですので、ご理解いただければと思います。

【委員】
それを言われても、当審議会を開催する前に当然、若い人を委員に入れるなどもあって、こういう形態で開かれているわけですから、やはり審議をしているときにはそれを尊重してやっていくべきじゃないかなと思うのですよね。途中でこのようにスケジュールを延ばして、市の方にはあまり本当のことを言えない何かがあるのかなと少々思ったりします。

【会長】
確かに若い人の意見を大事にするというのはよく分かりますが、審議会との位置付けというのは明確にしないとこの委員会の存在意義に関わってくるような気もしますので、その点の検討はよろしくお願いします。

【委員】
議論を拝聴していて、コミュニケーションデザインの重要性を痛感しています。実際に基本計画に書いてある文言と、パブリック・コメントを寄せた方々の認識に大きなずれがある、と私も率直に感じました。
つまり、情報発信の仕方であったり、報道の取り上げられ方であったりとか、運営もそうですし、この審議会にも影響を与えているのだとすれば、コミュニケーションの部分の工夫はぜひお願いしたいなと思いました。
もしかしたら、ここでの議論だけで基本計画のことが報道に出ているからなのかもしれないですし、何か別途説明の機会があった方が、市民の方々に対して、ワークショップの前にそもそもこの基本計画を市民の方々に説明するとか、そういうことをやらなければ、ワークショップも、もしかしたらこの基本計画を読んだ上で参加しない人たちが、この基本計画で書いてあることではないスタンスを長崎市が取っているような受けとめで、時間が奪われてしまうということになってしまっては、市の皆さんも大変でしょうし時間も勿体ないので、より議論をすべきではないかなと感じました。
その観点でもう一点質問があるのですが、ワークショップの目的、ゴールといいますか、若い方々にというお話があったのですが、1回なのか2回なのか複数回に分けるのか、ワークショップで受けた意見をこの審議会に持ってくるということなのか、そのあたりのワークショップの位置付けみたいなものが、もう少し分かるとありがたいなと思いました。

【事務局】
市民参加ワークショップのお話ですが、協議事項の後の報告事項の中で改めてご説明させていただければと思います。

【委員】
今回基本設計ということでまとめられていますが、どうも混乱するのが、基本設計の中にイメージパースや実施設計の部分が今回入れられて、分かりやすくするために展示設計の中の基本設計の部分、いわゆる実施設計の分か詳細設計の部分になってくるので、基本設計の部分にかなり実施設計の部分が入り込んできていると思います。
そうすると、ここで令和7年度の実施設計が1年間かかって長く延びるようなのですが、基本設計さえしっかりやって、実施設計分も入った基本設計をしっかりやっていくと、かなり次の年の分を縮められてきます。
審議会では、この基本設計の部分をしっかり審議すべきだと私は思うのですよ。ですから、事務局としてもう少し進めてもらって説明してもらうと分かりやすいと思うのですが、一概にこのまま進むと、単純に基本設計、実施設計で延びていったような感じで、最後がどんどん延びていくような形に見えます。
ですから私は先程から、説明してほしいと言っているのですが、その後の説明でも少々はっきりしないように私は聞こえるのですが、いかがでしょうか。

【事務局】
スケジュール変更前の図に、令和6年度は基本設計と実施設計を一つとして展示設計と表示しています。基本設計と実施設計は、当然展示の規模によっても変わってくると思いますが、通常、今回想定している規模感であれば、1年間ずつ取られているところが他都市の事例を見ても一般的です。
ただ、基本設計の規模によって実施設計の期間も左右されるとは思いますが、ご意見のとおり、基本設計により重点を置くべき、ということは、正にその通りだと思っています。実施設計を見据えて並行して進めていくことで、基本設計がある程度延期した場合でも、実施設計の期間で吸収できるような形も有り得るかと思いますので、そこはいたずらに延びることがないように工夫しながら進めていきたいと考えています。

2協議事項 長崎原爆資料館展示更新基本計画最終案について

・事務局より説明
・質疑内容

【委員】
第6章展示更新の方針1(6)「核兵器廃絶・核軍縮に向けた動きに関する展示」を、「核兵器廃絶に向けた動きに関する展示」に修正する、という基本的な趣旨に私は賛同していますし、また、核兵器廃絶を目指す、というのが資料館の重要な目標として掲げられているため、こちらでも結構な気もしますが、一方で、専門家の間では、基本的には核廃絶と核軍縮はどちらも必要だというのが一般的な認識です。
例えば、1987年にINF条約、中距離核戦力全廃条約ですが、これは、短距離、中距離、長距離の核戦力があり、米ソの間で、「長距離・短距離については全廃をしないが、あくまでも中距離のみ全廃する」ということで、これは核軍縮の条約なのですね。
ですから、詰まる所アメリカも、「核を全廃する」とは言わずに、「あくまでも中距離核戦力だけ廃棄する」と言っています。これは基本的には、「軍縮、核軍縮」と言っていいと思うのですが、これはトランプ政権時の2019年に、アメリカ政府が一方的にロシアに対してこれを破棄することを通告しました。
もしも、「核軍縮が望ましいわけではない」ということになると、例えば、長崎市としてこのような、「アメリカが核軍縮あるいはロシアが核軍縮の条約を破棄することが間違ったことだとは言えない」ということになりますので、やはりこちらは核兵器廃絶と核軍縮のどちらも必要だと言えます。
どちらかが善でどちらかが悪ではなくて、どちらも必要だと含めた方が望ましいのではないでしょうか。先程、展示を再度見学してきましたが、例えば、米ソ間のSTART(第一次戦略兵器削減条約)といわれる、これは主に長距離の米ソ間の核戦力削減の呼称なのですが、これは今完全にゼロベースで止まっています。
基本的には、冷戦終結の際にこのSTARTと、長距離の核戦力と、これは軍縮ですが、中距離の核戦力の全廃、この二つが、米ソ間の緊張を緩和して、冷戦終結し、核戦争の可能性を大きく後退させたと一般的に言われています。そう考えると、核軍縮もまた必要、そして米ソが、「核廃絶はしないが核軍縮ならしてもいい」と発言した際に、それもまた戦争の可能性を減じるものとして貴重なのではないか、と思います。
現在展示されている、STARTやINF条約の記述が不要ということはないのではないか、やはりこういった努力もあったという展示が必要なのではないか、というのが私の意見です。こちらは十分にコメントの趣旨や意図は受け止めて理解した上で、この部分は両方が含まれた展示の方が望ましいのではないか、と考えています。

【委員】
今のご意見に私も全面的に賛成です。「核兵器廃絶」とは、ある意味で目標みたいなもので、政治上の姿勢としての核兵器廃絶と、これを政策としてこの核兵器廃絶を具体的にどうやるかという面で、核軍縮というプロセスが当然あるわけで、現在は核軍縮の時代が少々停滞していますが、相当数の核兵器が削減されてきた、ということもまた事実なわけですから、そこは決して展示からは除外できない部分ではないかと思います。

【委員】
「核兵器廃絶に向けた取り組みとして核軍縮も重要である」という趣旨に関しては、私も全くその通りだと思います。一方で、「戦争を予防するための核抑止というのが一定評価できる」というスタンスを長崎市が取るかどうかに関しては、また別の議論があるのではないかなと、委員の発言を聞いて思いました。

【委員】
今、委員が言われたこととよく似ているのですが、私も大きな目標としての核兵器廃絶という中で、例えば、核軍縮であるとか、核兵器不拡散条約であるとか、様々な段階の取り組みがあると思うので、恐らくこのような大きなテーマを掲げる中で、複数展示があると思いますので、そこを委員が最初に全体としては賛成と言われたように、表現としてこのようにするというのでも構わない、と私は思いました。

【委員】
考え方として、要するに最終的には核兵器廃絶だけれども、廃絶まではなかなか難しいので、少なくとも縮小の方向に持っていこうと国連等の関係者が努力されている、というのが今の状況だと思うのですが、その受け取り方でいいのですよね。

【委員】
私が答えることでも無いと思いますが、核兵器禁止条約は、「核軍縮ではなく核兵器そのものを廃絶する」という意思があると思いますし、それから、例えば核の先制使用はしないという宣言等、様々なものがあると思うので、そこを含め方針(6)の中に入っているということでいいと思います。

1 報告事項
(3)展示更新にかかる令和6年度の取組内容について
ア 基本設計の作成
イ 市民参加ワークショップの開催

(4)その他
ア 長崎原爆資料館の指定管理者制度の更新について
イ 原爆資料館収蔵資料の追加調査について
企画展案内(ナガサキ「あの日」からの私)

・事務局より説明
・質疑内容

【委員】
期間延期等、様々なご意見はあると思いますが、私はやはり一市民として、様々な市民の方々の意見を聞きながら資料館の改定作業を進めるというのは、やはり、「自分たちの資料館なんだ」という認識を長崎市民に広げる、という意味でも、非常に重要な取り組みではないかと感じました。
対象者の中に「市内在住の方」とあり、私は、様々な年齢層の方々、大学生や高校生、障害者の方等様々な方々に来てもらうのはすごくいいなと思ったのですが、一方で実際に原爆資料館に来館する方たちの割合で考えると、むしろ長崎市以外や海外の方々が、資料館を見学しどのように感じたのか、むしろどこが足りないと思ったのか、という意見を聞くこともまた重要なのではないかと感じました。その方々を実際にワークショップに呼ぶ等は大変だとは思うのですが。
それこそ、旅行会社の方々と組んで、修学旅行生のうち協力できる学校に依頼して、資料館見学後に、どうなったらもっと良いと思ったのか、逆に何が一番響いたのか、といったことを、修学旅行生と一緒にワークショップ事業みたいな形で実施するとか。やはりこのような改定の中では、様々な意見があり難しい局面もありますが、そのように楽しい場を作りながら、県外や海外の方々の意見を積極的に取り入れていく、ということになれば、より海外や県外の方たちのリピートが増えて来館者の増加にも繋がるのではないかと率直に感じた次第です。

【委員】
今の意見とほぼ同じなのですが、参加対象者が市内在住の方と限られるのは少々不安があります。といいますのは、今委員が言われたような部分もありますし、長崎市民ではないものの周辺の地区から資料館に来られる方、それから被爆者の方も多く来られますし、そこも含めて、やはり募集対象者に含めてもらった方が良くないかなと思います。

【事務局】
まずは、開催時間などにもよるかと思いますが、移動を考え参加しやすい対象者という想定で書きましたが、今のご意見は貴重と思っていますので、そういったところも含めてまた詳細を検討していきたいと思っています。

【委員】
県外の方からよく聞くのが、「広島の原爆資料館に行くとすごく良かった。再訪して勉強し直したい」ということで、そういった方が割と多く見られるような気がします。ですので、広島の資料館の何が良いのか、やはり改めて長崎市の原爆資料館として、見学に行ったり、広島の原爆資料館に行った方の意見で何が良かったのかということも捉えながら、長崎原爆資料館を新たに作るきっかけとなっていけばいいのではないかなと考えるのですが、どうでしょうか。

【事務局】
展示更新に関わる職員は広島の原爆資料館を見学しています。学芸員も見学していますが、そういった意見も踏まえて検討していきたいと考えています。

【委員】
5ページの収蔵資料の追加調査を見ますと、宛先不明の返戻が4割ある中で、来年度以降に調査協力再依頼とありますが、宛先不明のところをどのように調査を進めていくのか、また、調査を進める資料館の体制を、学芸員の状況なども併せて示してもらえればと思います。

【事務局】
宛先不明者に関しては、まず発送する際に可能な限り住民記録台帳等を照合しながら、できるだけ届かないということが無い形で行ってきました。ただし、寄贈した資料によりますが、そもそも古い住所しか残っていなかったり、ご家族が皆さんお亡くなりになっていたりということもありますので、そういった方々が宛先不明で戻ってきたものになろうかと思います。
これはもう、それで終えてしまうということではなく、隣接の長崎原爆死没者追悼平和祈念館の手記等も残っていますので、そういったところに何か情報が無いかというところまでは調査の中で進めたいと考えています。
学芸員の資料館の体制については、実際本日、長崎市役所職員の異動内示がありましたが、新たに原爆資料館に3名の学芸員が配置されまして、その内少なくとも2名は平和推進課付けの学芸員となっています。まさしく今回の展示更新に携わる学芸員がそういった形ですので、体制を強化して取り組んでいきたいと考えています。

【委員】
分かりました。先程、委員からもご意見ありましたが、広島の資料館でも同じように調査とかされるのだろうと思います。そういった点でも、取り組みの共有をお願いしたいと思います。
また、学芸員を新しく配置するというのは分かりましたが、これまでおられた方も含めどのような状況なのかも確認したいと思います。全部変わってしまうのかどうかなど、今の回答だけですと少々不安になるのですが。

【事務局】
学芸員については、現在、正規職員が2名です。今回新たに3名追加し、5名体制になります。

【委員】
確認なのですが、今から募集するのですか。それとも、元々の職員さんが来られるのですか。

【事務局】
今年度採用試験が行われ、新たに3名採用になります。現在、先程説明しませんでしたが、会計年度任用職員としても2名いますので、5名の正規職員と2名の会計年度職員で、7名体制ということになります。

【会長】
今のご質問の趣旨は、全員が新人の学芸員かどうかということだったかと思いますが、こちらの回答はありますか。

【事務局】
既存の正規職員の内1名は、平和推進課に異動し、従事するという形となります。

【会長】
思いつきで申し訳ないですが、収蔵品の調査で700件の三分の一ぐらいがどこに行ったか分からないという話だと思うのですが、被爆者もいなくなる時代の中で、大事な、今やっておかなければならない仕事として本当に重要だと思います。
いわゆる被爆者健康診断の際に手紙を出しますよね。あれが恐らく全ての被爆者にアクセスする最良の方法だと思うので、その案内の中に、このような事業もありますよ、というのを入れるといいかなと、聞いていて思いました。

【事務局】
まさしく今、会長のご指摘のとおり、全被爆者に案内する通知がありますので、令和2年度から、収蔵資料も強化して集めています、という案内は、全被爆者に伝わるような形で同封しています。

【委員】
一つ質問がありますが、若い世代の意見を聞く参加しやすいテーマでというところで、「児童」というのは小学生ですかね。

【事務局】
小学生が意見交換が可能かという点はあると思うのですが、ただ実際、小学5年生を中心に多く見学いただいていますので、例えば保護者と一緒に来て意見交換する、ということも考えられるかと思います。

【委員】
小学生も結構来ますかね、来ますよね。そういった意味では、重要な階層かもしれないですね。
同じく今の、ワークショップのグループ分けですが、5人程度の1グループを4つで約20人。これはどのように集められる予定なのでしょうか。パブリック・コメントを提出した方を集めるのか、パブリック・コメントとは全く切り離したものなのでしょうか。

【事務局】
パブリック・コメントは、全く切り離して実施したいと考えています。例えば、児童生徒の皆さんにご案内するのであれば、教育委員会であったり、学校であったり、そういった周知の方法は工夫をしていきたいと考えています。

【委員】
パブリック・コメントに偏った開催なのではと私が先程発言したのは、少々考えすぎだったということですかね。もっと広く若い世代に、ということですね。わかりました。

【委員】
市民参加のプロセスとして、計画されているワークショップは非常に重要な機会となると考えます。ただし、それを本当に意味あるものにするためには、相当に企画を練っていく必要があるように思います。
「誰にどのように参加を求めるか」「どのような形で進めるか」「成果をどのように今後の議論に反映させていくか」等、真剣に考えれば考えるほど、課題は多くあります。
ワークショップについては、次回の審議会で検討するとなっていますが、次回の審議会が6月で、ワークショップの実施予定が7、8月というのは難しいのではないでしょうか。内容を吟味し、募集期間を十分に置くことを考えれば、4月早々から動き出すのが望ましいと思います。
ついては、審議会メンバーには学校関係者も入られていますので、例えば審議会メンバーから選抜してワーキングチームを立ち上げ、ワークショップの開催に向けて準備を始めてはいかがでしょうか。

【会長】
他にご意見ありませんか。無いようでしたら、本日予定している議事は全て終了しましたので事務局にお返しします。

【事務局】
審議会終了といたします。

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電話番号:095-829-1124

ファックス番号:095-829-1410

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(9階)

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