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更新日:2015年11月16日 ページID:027721
近隣に新しく建築物が建つとき、近くに住む方々にとって様々な不安が生じると思います。今後問題が起こらないためにも、建築物の計画について詳しい説明をしてほしいときや、相手に要望があるときは、建築主と協議を行って解決するようにしましょう。
長崎市では、「長崎市中高層建築物等の建築紛争の予防に関する条例」において、次のように定めています。
第5条 (市の責務) |
市は、建築紛争を未然に防止するよう努めるとともに、建築紛争が生じたときは、適正かつ公平な指導を行わなければならない。 |
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第6条 (建築主等の責務) |
建築主等(建築主、設計者、工事監理者及び工事施工者)は、中高層建築物等の建築又は管理に関し、近隣住民の居住環境に十分配慮をするとともに、近隣住民との良好な関係を損なわないよう努めなければならない。 |
第7条 (自主解決の 原則) |
近隣住民及び建築主等は、建築紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神により誠意をもって、自主的な解決に当たらなければならない。 |
建築紛争が起こったときは、建築基準法があくまで最低基準を定めたものであるとの認識に立ったうえで、上記第7条の趣旨を踏まえ、建設的な協議により早期解決を図るようにしましょう。
※この条例は、一定の規模の中高層建築物等の建築の際に建築主等が講ずべき措置を定めたものですが、建築物の規模に関わらず、建築主に対して適切な情報提供をするよう求めましょう。
建築物が建つことによって、近くに住む方々の住環境へ及ぶ影響は、敷地の形態や建築物の位置等により個々に違います。自分自身で建築主等に計画の内容を確かめて、具体的に受ける影響について把握するように努めてください。
計画の概要やその影響については、次のようなことに関して十分な説明を受けましょう。また、説明が専門的になりがちな事項もありますので、わかりにくいことは遠慮せずに質問することが大切です。
建築主等が近隣住民へ説明する計画の概要やその影響 | |
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1.建築計画の概要 |
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2.工事についての概要 |
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3.建築物及び工事による影響 |
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建築計画について疑問や不安に思う事などは、あらかじめ整理し、建築計画に対する意見等として、正確に建築主に伝え、良く話し合うことが建築紛争を未然に防止することへ繋がります。建築に伴って生じる近隣関係の問題は多くが民事の問題であり、これらについては当事者間で解決することが原則です。
計画の概要やその影響について説明を受け、内容に問題があれば、建築主又はその代理者と話し合いをして解決を図ることになります。問題を解決するために、次のようなことに留意する必要があります。
問題を解決するために留意すべきこと | |
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1.問題点を整理して話し合うこと |
問題を解決するためには、自分が受ける影響を具体的に考える必要があります。 自分は日照問題を解決したいのか、テレビの電波受信障害か、プライバシーの問題か、あるいは、工事の振動による影響か、など問題点を整理して話し合うことが大切です。 |
2.主張が一方的にならないこと | 誰でも自分の生活環境が変わることには抵抗を感じるものです。自分の権利だけを主張していたのでは問題の解決にはなりません。お互いの権利を認め譲り合うことによって、解決することが必要です。 |
建築物による影響やその問題については、建築計画の内容や地域的な特性、また、近隣に居住される方々の事情など、それぞれに特殊なものがありますが、問題を解決する上では一般的な考え方も考慮する必要があります。それぞれの問題については、一般的に次のように考えられています。
近隣に建物が建ったときに起こる問題に対する一般的な考え方 | |
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日照障害 |
普通いわれる日照権は、法律で明確に規定された権利ではありません。日照の阻害について建築主との話し合いがつかないときは、法律による保護を求めることができる場合もあります。 この場合に、どの程度の被害であれば工事差し止めや損害賠償が認められるか、あるいはどの程度の被害は我慢すべきかが問題になりますが、裁判例では、日照阻害の程度、建築物の適法性、都市計画などの地域的扱いや付近の状況、計画変更によって被害を出さないことができるかなどを判断の基準としています。 |
眺望の阻害 | 景観・眺望が特別の価値をもっている観光地や別荘地などの例外的なケース以外では、眺望の阻害を理由として工事の差し止めを認めた裁判例はほとんどありません。このことから、眺望の確保を権利として、法律による保護を求めることは難しいと考えられています。 |
プライバシーの阻害 |
民法は、境界線から1m未満の距離に、他人の宅地を見ることができる窓や縁側を設けるときは、目隠しをしなければならないと規定しています。 他人からみだりに私生活を覗かれることは誰にとっても苦痛ですので、建築主に計画の改善を求めたり、自分の住居にカーテンやブラインドを取り付けるなど、お互いが譲り合うことが必要になります。 |
工事の騒音振動 |
建築工事に関しての騒音振動のうち、特定の機械を使用する杭工事や解体工事などの一部については、騒音防止法や振動防止法で規制されていますが、通常の作業についての規制はありません。 そこで、周辺の住環境に及ぼす影響が大きいと考えられる工事の場合には、作業の日時、騒音振動の対策、工事中の安全対策、周辺に被害が生じたときの対応などについて、建築主や工事業者と関係住民との間で、協定を結ぶことが行われています。 |
電波障害 |
建築物の工事中、または建築物完成後、テレビ電波の受信障害が発生したときは、一般的に原因者の責任と負担で対策を行っています。(電波受信障害の防止・対策に関する法律はありません。) その建築物によって受信障害がおこったときは、建物の屋上に共聴アンテナを設置し、障害を受ける建物までケーブルを敷くことやケーブルテレビ(有線テレビ)に加入することが行われています。 なお、共同受信施設の工事費用や日常の維持管理の方法や費用負担について、関係者が覚書などで明確にしておくことも大切です。 |
風害 |
建築物によって風の向きが変化したり、強さが増すなどの影響は、その地域の地形や建物の状況などによって左右され、複雑であるために、影響の程度や被害が発生するかどうかをあらかじめ予測することは困難です。 そこで、被害が心配される場合には、建築物の周囲に樹木を植えて風を防いだり、実際に被害が生じたときの補償について協定を結んだりすることが、一般的に行われています。 |
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