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遠藤周作を偲ぶ一日(H26.11.15)

ページID:0006723 更新日:2024年11月11日更新 印刷ページ表示

遠藤周作を偲ぶ一日(H26.11.15)
木曽川からガンジスへ――最晩年の遠藤周作の人と作品

講師 高橋千劔破氏(文芸評論家)

 本年の偲ぶ一日は、文芸評論家の高橋千劔破氏を講師にお招きして、遠藤周作の歴史小説についてご講演いただきました。
 講演会は、晩年の遠藤の歴史取材にもたびたび同行され、公私ともに親しくされていた氏の歴史小説への強い想いが伝わってくるものでした。また、遠藤の≪心の故郷(ふるさと)≫と呼ぶべき四つの場所――長崎、美星町(岡山)、江南市(愛知)、北琵琶湖(滋賀)――を懐かしい思い出とともに辿る時間にもなりました。
 「歴史小説は純文学とは異なる大衆歴史小説として看過されがちだが、これら一連の作品には遠藤周作のさまざまなエッセンスがちりばめられており、重要な主題(テーマ)がある。遠藤文学を考える上で欠かすことのできない作品群だ」と、遠藤作品における歴史小説の重要性について述べられました。
 その中で、最後の小説となった歴史小説『女』に流れる≪無常観≫について触れられ、この作品に出てくる言葉には、信仰とは、キリスト教とは、生命(いのち)とは何かという問いかけを全て通り越した遠藤の想いが集約されていると語られました。

 「昔のことは、すべて夢の、また夢」
 「この世は夢幻(ゆめまぼろし)のごとし」

 最後に氏は「遠藤先生」の友人の一人として、次のような言葉で締めくくられました。
 遠藤先生が亡くなられた日のことは本当に昨日のことのように思い出す。今日は遠藤先生を偲ぶ日だから、外海の夕日を見ながらこう言いたい。「遠藤先生、また碁を打ちましょうよ」。


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