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第14回文学講座(H23.3.26)
題目 編集者から見た作家・「遠藤周作」
講師 堀憲昭氏(長崎文献社専務取締役)
講座は文学館開館当時の思い出から始まり、昭和57年、氏の依頼により「周作塾」の連載が雑誌「PENTHOUSE」で開始された当時のエピソードへと移りました。
「周作塾」は、竹中直人をモデルにした劇画化写真で扉を飾ったり、「新さくら丸」を貸し切って船上で読者との集いを行うなど、先生の「狐狸庵」の側面のアイディアを頂戴しそれを存分に活かした企画で紙面を彩られたそうです。
遠藤先生との交流は「作家・遠藤周作というよりも狐狸庵先生という側面でお付き合いをさせていただいた」とのことで、「イタズラをとことん楽しむこと」を学ばれたそうです。そして先生からのイタズラの洗礼は、連載依頼で事務所へ伺った当日、「いまから新宿につきあえ!」と早速に頂戴したとのこと。これから新宿で撮影があるという先生に引っ張られるようにして到着したお店で、気づけば氏がカツラ姿でカメラの前に立つはめになったそうなのですが、後日、社内で、その日新宿にいたカメラマンが実は写真部所属のカメラマンだったことが判明したとのことでした。
こうしたイタズラの洗礼は、「周作塾」の連載第一回目で提案されている「もう一つの名前を持つことによる新たな自分の発見」を、「実践編」として先生が直接ご教示くださった表れのように思われます。