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第22回文学講座(H25.2.23)

ページID:0020128 更新日:2025年3月14日更新 印刷ページ表示

題目 遠藤周作とグレアム・グリーン
講師 阿部曜子氏(四国大学)

 平成25年2月23日(土曜日)、風は冷たいものの晴天に恵まれ、西を望むテラスからの海には冬独特の白波が立つなか、第22回文学講座を開催いたしました。
 今回は、四国大学の阿部曜子氏をお迎えし、遠藤周作が若かりし頃から愛読したカトリック作家の一人グレアム・グリーンの文学と、遠藤文学についてお話していただきました。
 グレアム・グリーンの研究者である阿部先生より、欧米において、遠藤周作は「日本のグレアム・グリーン」として認識されていることや、遠藤の文学的出発点となった仏蘭西留学中の日記には、「モーリヤック、ジュリアン・グリーン、そしてグレアム・グリーン」という三人の作家の名前がよく記されており、グレアム・グリーンの名はいつも三番目に列記されるものの、文学的に遠藤が一番影響を受けているのはグレアム・グリーンではないだろうかとご紹介いただきました。そしてその後は、『沈黙』との影響関係があるグリーンの『権力と栄光(※力と栄光)』について、両作品の詳細な比較一覧とともに、場面や設定の相違点、表現上の影響関係について、ご解説いただきました。
 また、講座の最後には、遠藤節の一つである「宗教心理と恋愛心理の相似性」について、グリーンの『情事の終わり』における主人公ベンドリックスとセアラの道ならぬ恋の行方の描き方を、ビデオ映像とともに鑑賞することで、深めさせていただきました。


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