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第7回企画展「遠藤周作と長崎――心の鍵が合う街」
遠藤周作が初めて長崎を訪れたのは昭和39年の春だった。結核という病魔が襲い、志半ばでフランス留学(昭和25~28年)を終えた遠藤は、その後小説家として足場を固めていく。結核が昭和35年に再発し、長い闘病生活に入る。この入院中にキリシタン関係の書物を読み漁っていた。退院後、昭和39年の春に念願の長崎を訪れる。「日本人に合ったキリスト教信仰」という難問に向きあうことを創作活動の原点とした遠藤が、死を覚悟した入院生活の中で導き出した舞台が、日本キリシタン史の中心地・長崎であった。その後、遠藤は取材旅行で長崎をたびたび訪れ、「心の故郷」と呼び愛した。
本企画展では、『沈黙』『女の一生』の舞台となった長崎と遠藤周作との関わりを、長崎の歴史を歩いた遠藤の足跡とともに紹介しています。